「噴水効果」突破口に 腕時計取り扱い百貨店5倍
カシオ計算機 畠弘紀さん

入社後、名古屋市の営業所に配属された。事前の調査を徹底し、相手の立場になって提案を考える手法は失敗が許されない新人時代のホームセンターへの営業で身につけた。「社内営業も大事」。当時、上司に言われたことは肝に銘じている。ふだんから各部門に顔を出し、提案を作る際に協力を取り付けられるようにする。
ブームは終わっていたが、デザインや機能に引かれて大学時代に「Gショック」を買った。カシオの製品に魅力を感じて、入社することを決めた。洋服やアクセサリーが好きで、休日はセレクトショップを巡っては流行を探る。仕事に生かせるヒントも得ている。
カシオの商品は値ごろ感から、最近は若者の間で「チープカシオ」との呼び方がはやっている。畠さんの営業活動にはマイナスの影響はないのか。「話題が集まるので、むしろありがたい」。実績に裏付けられているせいか、自信を隠さない。
ゴルフも始めた。相手が地方のホームセンターから首都圏の百貨店に変わったことへの意気込みもあるだろう。「足跡を残す仕事がしたい」。人脈を築きながら、販路の開拓に精を出していく。
(ゼンフ・ミシャ)
はた・こうき 1998年カシオ計算機入社。名古屋市の中部リストロマン営業所に配属され、ホームセンターに腕時計を販売。08年から首都圏営業部に所属し、首都圏リストロマン営業所の係長として百貨店を担当する。埼玉県出身
[日経産業新聞2017年2月15日付]