「本当に合う」女性の下着提案 しぐさから本心見抜く
グンゼ 吉田知香さん

「肌着の要望はストレートに店員に伝えられないことが多い」と吉田さん
販路の拡大や新商品開発に向けた顧客との接点づくりのため、2016年から直営店の出店を始めたグンゼ。現在では大阪市と京都市に計3店を構える。「cocochi select by GUNZE(ここちセレクトバイグンゼ)」など2店を統括するのが吉田知香さん(28)だ。
19歳の時にアパレル店の販売員を始めた。服にはあまりこだわりがなかったという吉田さんが販売員を選んだのは「とにかく接客をする仕事がしたい」から。「スパルタ教育を受けた」アパレル店では片足に重心をかけて立っているだけで見栄えが悪いと叱られ、客に近づく際の足の出し方からたたき込まれた。
接客の基本は客の声にならない声を拾うこと。「肌着の要望はストレートに店員に伝えられないことが多い」。胸をきれいに見せたい、ボリューム感を出したいといった恥ずかしくて伝えづらい要望を試着の際のしぐさから読み取り、客が満足する商品を提案する。
グンゼに入社したのは16年12月。実績を買われて、半年後の5月には直営店3店のうち、京都と大阪・梅田の2店の統括責任者に。直営店全体の売上高は17年上期で計画を2割上回った。
商品を実際に使ってみた経験がものをいうこともある。ストッキングでは自身の経験を踏まえ、「つま先が突っ張って苦しくなることはありませんか」と積極的に声をかける。多くの女性はウエストからサイズを選びがち。しかし、「実際は大きいサイズにすることでつま先の悩みは解消されることが多い」という。
最近は電子商取引(EC)での購入も増えている。自分で合うと思い込んでいるサイズを購入することが的外れになることも多い。店頭での試着時、客が自分にフィットするとは思っていなかった商品を「発見してあげる」ことがリピーターの獲得につながる。
品ぞろえに客の声を反映させることも欠かせない。様々な要望を受けるなか、「なぜ、その商品が欲しいのか、を必ず尋ねる」。ある日、複数の客から「男性向けのパジャマはありませんか」と尋ねられた。理由は「入院している夫のパジャマが欲しいから」。調べてみれば、周辺に病院が集積することが判明した。「本社も納入に納得するだけの理由を調べ、伝えることで実践的な品ぞろえを実現できる」