姫路でEV用モーター開発、製造業の醍醐味知る
三菱電機社長 杉山武史氏(上)

甲子園の大型映像ビジョン
三菱電機の杉山武史社長(62)は自動車部品を手掛ける姫路製作所で設計担当だった。
30歳代になって設計の第一線で仕事をできるようになったころ、1992年に電気自動車(EV)用モーターの開発チームのリーダーを任されました。三菱電機にEV用モーターの開発依頼が舞い込んだためです。エンジンを始動させるモーターの設計をしていた私に白羽の矢が立ちました。私を含め社内の若手8人がプロジェクトに参加。当時、若手中心の開発チームは珍しかったですね。
今でこそEVは普及してきましたが、90年代にEV開発に着手したころは手探りでした。一方、新しいことに挑戦できるわくわく感にも満ちていました。
ノウハウを求め各地を駆け回る。
設計を始めていきなり壁にぶつかりました。EVならではの加速感を引き出すための交流電源のモーターが求められたのです。当時、姫路製作所には十分な知見を持つ人も設計図もありませんでした。
交流モーターが鉄道やファクトリーオートメーション(FA)機器で使われていたことを知りました。そこでチームメンバーで伊丹製作所や名古屋製作所に教えを請いに回りました。