姫路でEV用モーター開発、製造業の醍醐味知る
三菱電機社長 杉山武史氏(上)

すぎやま・たけし 79年(昭54年)名大工卒、三菱電機入社。14年常務執行役。18年4月から現職。岐阜県出身。
設計のノウハウを教えてもらい、寝る間を惜しんで設計にいそしむ日々を過ごしました。若手ばかりのチームでしたが「姫路も交流モーターをやるのか。EVを楽しみにしてるぞ」と励ましてもらいました。
製造業の醍醐味を実感する。
開発したモーターと制御機能を持つインバーターを組み合わせた実験は、設計陣全員が集まり固唾をのんで見守りました。期待通りの成果が出たときは歓喜しました。この喜びは製造業ならではの醍醐味でした。
自動車で最も重要なのが安全性です。実際に走行するときの温度や振動、防じんに耐え得る性能を担保しなければなりません。92年に社内の試験場で走行テストを重ねようやく納入にこぎ着けました。
開発プロジェクトが終了して、チームは解散しました。今ではEVモーターは交流が当たり前となっています。EVや車両の電動化など今でも電機メーカーが担っている技術は多いのです。若手中心のチームでEV草創期の開発を手掛けられたことは、今でも誇りに思っています。
あのころ
電気自動車(EV)は1970年代のオイルショックなどで幾度となく脚光を浴びたが、1990年代初頭は米カリフォルニア州が排ガス規制に乗り出したことで日本でも開発機運が高まった。当時はバッテリー容量の不足や価格が普及の壁となった。
電気自動車(EV)は1970年代のオイルショックなどで幾度となく脚光を浴びたが、1990年代初頭は米カリフォルニア州が排ガス規制に乗り出したことで日本でも開発機運が高まった。当時はバッテリー容量の不足や価格が普及の壁となった。
[日本経済新聞朝刊 2019年4月16日付]