LNG販社立ち上げへ奔走 見通し甘く顧客獲得に苦労
JERA 小野田聡・社長(下)

エル・エヌ・ジー中部で大規模工場向けにLNGの販売を手掛けた(小野田氏は左端)
■バブル崩壊で発電所の新規建設計画ゼロ。
43歳のとき、発電所の設備の建設計画を担当する企画部に移りました。実は、異動した当初は、全く面白くありませんでした。それまではバブル経済のさなか、発電所をどんどん計画してはつくっていました。しかし、バブルは崩壊し「もういらない」となっていたからです。新規の設備計画がありません。遅らせるか、中止するか。縮小していく一方でした。
ただ当時、電力の部分自由化が始まろうとしていました。そこで中部電力としてガスの販売への参入を検討することになりました。液化天然ガス(LNG)の販売会社を立ち上げたら採算がとれるのか、調査を始めました。
「中部電力がLNGを売ったら買ってくれますか」。そう尋ねると、お客さんは「中部電力がやるなら買うよ」と言ってくれる。「これはいける」と確信してLNG販売会社の「エル・エヌ・ジー中部」の立ち上げに奔走しました。
2000年の仕事始めの日に業界に先駆けてプレスリリースを出したい。そのために1999年の仕事納めの日に、役員を一人ひとり待ち伏せし、3時間ほどで全員から承認を取り付け、発表にこぎ着けました。
■見通し甘く反省。逆境バネに何でもやる。
「よし、業界で一番だ。俺がやってやる」と強く思いました。そして00年、エル・エヌ・ジー中部を設立し、課長待遇で出向しました。