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鈴木さんがこうした経験で得たのは、営業は1人ではなく、開発や生産など各担当者の思いを背負って「チーム伊藤ハム」で商談に臨むという取り組み方だ。道内の事務所は東京に比べると従業員数が少なく、全員の顔が見える職場だった。近隣にある工場にも足しげく通い、生産や物流の担当者と意見交換する機会が格段に増えた。営業以外の現場の工夫や苦労を知ることで、日々の商談に自信と情熱を注げるようになった。

食品営業はいかに売り場をしっかり確保し続けられるかが大切で、得意先との信頼関係がカギを握る。鈴木さんは得意先の問い合わせや依頼にはできる限り早く答える。レスポンスを早くすれば、そのほかの依頼も自然と集まるようになる。こうして得意先との接触回数を増やし、自身の人柄を知ってもらうことで信頼関係を築いている。

聞かれた内容以上のプラスアルファの情報も提供するよう心がけている。例えば、得意先から「こういう商品はないか」と問い合わせを受けたら、自社の該当商品に加え、競合商品の特徴や価格、売れ行きと販売見通しなどの情報をそろえて提供する。

社内では他部署の人たちへの感謝も忘れない。商品の細かな売れ行きは開発や生産などの部門から見えにくい。鈴木さんはスーパーでどう売れているか分かる写真を他部署の担当者らに送り、販売現場の情報とともに感謝を伝えている。

鈴木さんは「コロナ下にあっても『食』を通じて消費者の生活を支えていきたい」と胸を張る。おいしいものを食べたら自然と笑みがこぼれるのは世界共通だ。そんな幸せを届けられる仕事こそが今の営業職だと感じている。

(北原佑樹)

 すずき・とものり
08年に順天堂大スポーツ健康科学部卒業、伊藤ハム入社。一貫して量販店営業を担当し、現在は加工食品事業本部関東量販営業部に所属。高校、大学で打ち込んだラグビーで粘り強さを学んだ。
[日経産業新聞 2021年6月15日付]

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