組織・個人の責任ハッキリ 社員に求める仕事師の顔
アシックス 広田康人社長(上)
――外部から社長になりました。社員に受け入れてもらうために意識したことはありましたか。
「最初、私のことを誰も知りませんから、接地面積を広げるのが大切だと思いました。製品や決算などについて私の考えを発信する社内ブログを始めました。就任後は2週間に1回のペースで出していて、もう80回くらい更新しています」
「新型コロナ禍の前には社員と昼ご飯を食べながら交流していました。今はオンラインで社員とコーヒーを飲む『COOFFEE』という懇親会を週1~2回ほど開いています。部署ごとに1時間ほど、大体10~15人くらいの規模で雑談します。私はおしゃべりなので、しゃべり始めるとべらべら話してしまうのですが、まず社員の話を聞くことを心がけています」
――座右の銘はありますか。
「新入社員には毎年『三日会わざれば刮目(かつもく)してみよ』と言っています。常に成長してほしいということです。若い頃に聞いて覚えた言葉で、自分でもずっと意識してきました。成長するためにこそ、またあしたが来るのだと思います」
(佐藤諒)
ミュージカルで充電
ひろた・やすひと 1956年愛知県生まれ。早稲田大政経卒、三菱商事入社。2014年に代表取締役常務執行役員、17年に関西支社長兼務。18年1月からアシックス顧問に転じ、同3月から現職。
趣味は演劇、映画、落語の観賞だ。「箱物が好きなんです。そのときを共有できるライブ感がいい」と話す。最近のおすすめはミュージカルのレ・ミゼラブルという。「劇中歌『民衆の歌』を聴くと元気が出ます。かっこいいですね。単純なもので、『やるぞ』って気になります」
[日本経済新聞夕刊 2021年7月8日付]