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年齢基準で給与が引き下げられる代表的な理由は役職定年です。55才前後で、課長や部長のポストからおりてもらい、後進に役職をゆずる人事の仕組みですが、大企業の約3割が導入しています。製造業や建設業でも役職定年の仕組みを導入している会社は多いのですが、推測できる違いが一つあります。

それは役職を定年しても給与が下がらない可能性です。

考えられる理由は、昭和的なオールドスタイルの社風を維持していることや、労働組合の強さです。役職定年の実態について調査した人事院のデータを見ると、1割程度の企業で、役職をはずれても給与が下がらないようになっています。そのすべてが製造業や建設業ということではないでしょうが、昭和的なオールドスタイルの社風や、強い労働組合の存在がこれらの業界に多いこともまた事実です。なにせ日本を代表してきた主要産業ですから。学術研究や教育業界、電気・ガスなどのインフラ系、鉱業などの業界も同じような理由でここに含まれていると考えられます。

50代後半で130万円も年収がさがる「山型」業界

では、賃金カーブがおじぎをしている業界について整理してみましょう。

右肩上がり型以外のほぼすべての業界でおじぎは生じているのですが、特に激しくおじぎをしているのが「山型」業界です。

山型業界では50代前半で平均年収は900万円を超えます。これは右肩上がり型とほぼ同じなのですが、そこからおじぎをしてしまっているのです。結果として、50代後半の平均年収は130万円ほど下がって770万円になります。山型は以下の3業界です。

情報通信、金融・保険、不動産・物品賃貸。いずれの業界もそれぞれ一世を風靡した感のある業界です。特にIT系や大手都銀などは給与水準が高い印象があります。しかし統計を見る限り、それらはもはや過去の話のようです。

ちなみにこの中でも特におじぎの幅が大きなのは金融業、保険業です。50代前半の平均年収約860万円が、50代後半では690万円と、170万円も下がります。月給にすれば10万円以上も下がることになるので、なかなか生活も大変になりそうです。

しかしそれでもまだ「山型」の業界は良い方なのです。あとの二種類の業界ではさらに厳しい現実が読み取れます。

おじぎは少ないが水準も低い「台地型」業界

「台地型」業界では、50代前半から50代後半にかけてのおじぎ幅は平均して約12万円だけです。だから山型業界よりもよい待遇なのか、というとそうではありません。

なぜなら、台地型業界のピーク時年収は約699万円と、山型業界に比べて200万円も低い年収だからです。

台地型の業界では、20代前半の間は右肩上がり型や山型の業界とほぼ変わらない給与が支払われます。だからその時点ではあまり気づかないことが多いのですが、20代後半で年収に約50万円の差がつきます。30代でその差は100万円、130万円と増え、50代前半のピークで200万円の差にまで広がるのです。

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