「男は黙って」は通用せず、タクシー王子改革に走る
川鍋一朗・日本交通会長に聞く(下)
その意味では、もしケロッグに行っていなかったら、今の自分の経営者としての人生も、この会社もなかったかもしれません。
ライドシェアの登場などで、大変革を余儀なくされるタクシー業界。そうした中、日本交通は4月、東京23区・武蔵野市・三鷹市のタクシー初乗り運賃を現在の「2キロ730円」から「1キロ強410円」に変更を求める要請書を国土交通省に提出した。
2年前に東京ハイヤー・タクシー協会の会長に就任しました。それまでは日本交通の経営だけに力を注いできましたが、これからは、タクシー業界全体の改革を進めて行こうという気持ちです。会長就任については、当時の富田昌孝会長から、「ライドシェアのようなサービスが出てきたら、今までの自分たちの発想では対応できない。だから、川鍋君、よろしく頼む」と言われました。
日本のタクシー業界は確かに保守的ですが、ライドシェアの登場や、さらには自動運転技術の開発など、「移動革命」が起こりつつある中、危機感も相当強い。ですから、会長就任もタイミング的にはちょうどよかった。改革を進めやすい環境にあるのではないかと思っています。
私がこの会社を自分の子供たちに引き継ぐころには、日本交通は、「自動運転タクシー会社」に変わっているかもしれません。そこまで生き延びることができるよう、変化に対応し、さらには変化を先取りする経営を続けていかなければならないと考えています。
インタビュー/構成 猪瀬聖(ライター)