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私が人事部長に相談されたのは、そのうちのひとり、年配の人事課長の処遇をどうすべきかという問題だった。単純に考えれば、課長から外せばよい。ただそれだと給与も下がるし、何よりも彼の専門性がもったいない。どうすればいいだろうか、という相談だった。

ちょうど人事制度改革においては、複線型を廃止して、職務主義に基づく職務等級制度を導入するタイミングだった。であれば、彼に対して新たな職務を付与する選択肢もある。

組織論の原則に立てば、会社としての必要性に応じて組織設計すべきだ。そして人事課が一つなのであれば、課長は1人にして、もう1人は降格するか別部署に異動するべきだ。

しかし彼は有能な人材だったし、専門性も人事に特化していた。

組織は戦略に従うべきだが、戦略は人材に従って設計する場合もある。となれば人材の有無が戦略を定め、組織を定める場合もあるのだ。現実の企業では、むしろその方が多いくらいだ。

そこで年配の課長に対して、人的資本の棚卸しを、社会人生活後に限定してお願いした。

その結果わかったことは、彼の専門性におけるストーリーが、事業部門従業員のモチベーションとスキル向上に特化できるということだった。彼の専門性は人事に特化していると思われたが、過去に二度支店勤務になったことがあった。当時の支店運営は複数事業を統括するもので、彼はそれぞれの支店で実質的に、現場目線での人事企画担当として活躍していた。その際につながっていた同僚たちは今やさまざまな事業部門の課長や次長クラスで、今でも交流があることがわかったのだ。

そこで事業人事企画課が新設され、彼はそこの課長として就任した。今まで本社のデスクに張り付いていた彼は、新しいポストについてからは各事業部との連携を密にし、細かいニーズを吸い上げながら、個別の詳細な改革を進めるようになった。もちろん会社としての収益性にも具体的に貢献するようになった。

◆「あなたの年収は、あなたの友人たちの平均年収に近い」を検証する

俗説としていわれていることがある。

「あなたの年収は、あなたがよく交際している友人たちの平均年収に近い」

俗説ではあるが、これは真実だ。特に交友関係が会社の中だけに限定されている人において、その傾向は顕著にあらわれる。

いつも部下を引き連れて飲みに行っている課長の年収は増え続けているだろうか? 課長同士でよく交流している人たちのほうが少しはましだろう。さらに言えば、部長や取締役と親しくしている、あるいは叱責されながらもくらいついていっている人の方が、出世して年収が増えているのではないだろうか。

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