たった1人の女性が挑戦 「ふるさと納税」の立役者に
「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2016」大賞の須永珠代さんに聞く

1人で悩むより、まず何かを始めてみる
地域を元気にしたいと考える自治体の首長・職員と、それを応援したいと思う寄付者――。両者が出会って、寄付の申し込みから決済までできるのが、ふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」だ。企画・運営するトラストバンクは2012年4月の設立で、まだ4年あまり。ふるさと納税が注目を浴びるにつれ、ふるさとチョイスの知名度も上がってきているが、元は、須永珠代さんのたった1人の挑戦から始まった。
私は大学を卒業後、地元群馬の企業に就職しました。就職氷河期といわれていた時期で、運よく入社できましたが、1年でやめました。女性社員は補助的な役割にとどまり、何か仕事を任せてもらえるような雰囲気ではなかったからです。
その後は派遣社員やアルバイトとして、営業や経理の仕事をしていました。しかし、それでキャリアを積んでいくのは難しく、正社員になる道も限られていることがだんだん分かってきました。結局、自分で起業するしかないと考えるようになりました。
会社設立の知識はまったくなく、インターネットで検索して、会社登記などをパッケージ化したサービスを使ったくらいです。会社ができても、どんな事業を始めたらいいのか、なかなか決められませんでした。
そんなとき、友人から「自治体関連の仕事にしたらいいのではないか」というアドバイスをもらいました。ネットで調べてみると、どの自治体も観光客の誘致や地場産業の振興といった経済の活性化策に取り組んでおり、歳入増大の方策としてふるさと納税も取り上げられていました。