変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

もう1冊は生方正也『アウトプットの精度を爆発的に高める「思考の整理」全技術』(かんき出版)。今年4月の刊行で、著者の生方氏は人事・組織コンサルタントで様々なビジネス思考法の研修などを手がけける。どのような頭の使い方があって、どこで使うとよいのかを整理し、うまく頭を使えないときの対処法を理解するという観点から、「頭の使い方」をまとめたというのが本書のうたい文句だ。大城さんによれば、「アウトプットに力点を置いて頭の使い方を教えてくれるところが胸に落ちやすい」という。

本格的な経済書に挑戦

紀伊国屋書店大手町ビル店の広瀬哲太さん

紀伊国屋書店大手町ビル店の広瀬哲太さん

紀伊国屋書店大手町ビル店の広瀬哲太さんがすすめるのは岩井克人『経済学の宇宙』(日本経済新聞出版社)。日本経済新聞の編集委員が聞き書きのかたちで日本を代表する経済学者、岩井氏の若き日からの思考遍歴をたどった1冊で、難解といわれる同氏の思考がわかりやすくかみ砕かれているのが特徴。2015年4月刊行の本だ。「文学や哲学などにも話が飛びながら、深い思考の軌跡がわかるところがおもしろい。本格的に経済や企業について考えてみるにはいいのでは」と広瀬さんはすすめる。

もう1冊は井手英策『経済の時代の終焉』(岩波書店)。こちらは2015年1月の刊行。日本の経済社会が新自由主義的な経済に飲み込まれていく流れを国際比較を通じて立体的に描きながら、そこから抜け出し、「経済を飼いならす」にはどうすればよいのかを考察した気鋭の経済学者の論考だ。「最近追加で入荷してきてポツポツ売れている。いまだに解決していない息の長いテーマで、休みの間に思索を深めるには読み応えもあっていいと思う」と広瀬さんは言う。

三者三様のおすすめ本だが、短いものでも刊行から半年近くたち、新刊洪水の中では埋もれがちな本だ。「夏休みに本でも読もうか」というときに参考にしてみてほしい。

(水柿武志)

新着記事

Follow Us
日経転職版日経ビジネススクールOFFICE PASSexcedoNIKKEI SEEKS日経TEST

会員登録をすると、編集者が厳選した記事やセミナー案内などをメルマガでお届けしますNIKKEIリスキリング会員登録最新情報をチェック