すぐイラつくお子様上司は「語り」のコーチングを学べ

ナラティブ・コーチングとは
ナラティブ・コーチングというのは、対話を通してナラティブの力を最大限に活かしつつ、気づきを促し、変革をもらたらす技法である。
ナラティブとは「語り」のことだが、語りの主な機能として、つぎの4つをあげることができる。
1 カタルシス機能
胸の奥に溜め込んだ思いを語ることにより、それと結びついた情動を発散させる。腹立たしいことや悔しい出来事にまつわる思いをぶちまけてスッキリしたり、長年胸の中につかえていた思いを吐き出すことでスッキリするなど。
2 自己明確化機能
解釈以前の感情や衝動に対して、言葉によって形を与えることで、自分自身が経験していることを明確にしていく。映画や書物で感動した時など、なぜ感動したのかを言語化しないことが多いが、その感動をだれかに伝えるために改めて言語化しようとすることで、自分がどこの部分にどうして感動したのかがはっきりしてくる。そのように語ることでモヤモヤした思いがはっきりしてくる。
3 統合化機能
個々の経験の間に因果の連鎖をつくるなどして経験を体系化し、一貫した意味の流れのもとに自己の諸経験を統合的に理解することを促す。私たちは出来事の羅列の世界を生きているわけではない。あの出来事がその後のこの出来事につながった、あの出来事の影響でこんな行動をとるようになったというように、出来事同士を因果関係で結ぶことで、自分の生い立ちや行動に説明をつけようとする。それが一般に自己理解と言われるものといってよい。
4 動機づけ機能
先立つ経験と後に続くと予想される出来事に照らして、意味があると思われる行動へと動機づける。私たちは気まぐれな行動をとるわけではなく、過去経験の解釈をデータとして用いて未来を思い描き、より望ましい未来につながるような行動を選択する。そのための過去の解釈や未来への期待を語りが促すことになる。