「開成より日比谷」東大合格公立校1位に復活したわけ
日比谷高校の武内校長が語る

東京大学
「日比谷はしんどい。公務員だからもっと楽な道を選べばいいのに」という教師もいる。しかし、武内校長は「我々ががんばれば、生徒が応えてくれる。やりがいがある」という。
顧客満足度調査ではないが、生徒による授業評価の調査も実施している。5年ほど前は「授業内容がいい」と回答したのは全校生徒の60%だったが、現在は76%に改善したという。この結果、進学塾に通う生徒の割合は中高一貫校に比べて低い。週3日以上塾に行くのは高校1年生で5%、高2で10%、高3でも30%にとどまる。
16年の東大合格者ベストテンの進学校はいずれも私立と国立の中高一貫校。6年間のカリキュラムを5年で終え、最後の1年を受験対策に集中できる一貫校は圧倒的に有利だ。そこに挑むのが同年11位に飛躍した日比谷。「中高一貫校以外の高校では実力ナンバーワンだ」と大手予備校や進学塾の指導員は口をそろえる。
旧制東京府立一中の流れをくむ日比谷高校。卒業生には、トヨタ自動車名誉会長の豊田章一郎氏や新日本製鉄(現在の新日鉄住金)会長だった今井敬氏ら経団連会長経験者も少なくない。ノーベル賞受賞者の利根川進氏など著名人がずらりと並ぶ。「素直でまじめ、やる気のある生徒が増えた」という日比谷。新たなリーダーが次々輩出されそうだ。
(代慶達也)
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