コンビニの支払いでバレてしまう「人としての器量」

お客は「いい人、悪い人、普通の人」の3種類
先日、神奈川県厚木市のコンビニでアルバイトの男性店員が客の様子を写真に撮り「帰れ、デブ!」「死ね」などのコメントを添え、SNSに投稿して問題になった。客の免許証までアップしたとも報じられた。
「トンデモない、許しがたい!!」
電話で取材した40代の男性が激しい憤りをぶちまけた。彼はコンビニを数店舗経営している。
「お前のところも大丈夫か? みたいに思われたら売り上げだって、バイト募集にだって影響が出かねない!」
話すうちに怒りが収まったのか、こんな「本音」も漏らすのだった。
「バカすぎて話にならないが、犯行理由を聞かれ『接客のストレスがたまっていた』と答えたというその言葉は、ちょっとだけわからないでもない……」
オーナーではあるが、彼は各店舗を回り、バイトたちと一緒にレジ打ちも行い、時間があれば、店員の声に耳を傾けるよう努めているという。彼の話によれば、自身の体験を含め、コンビニのレジで接客する人間のストレスは想像をはるかに上回るものだった。
「あくまでも私と、うちの店で働く者の感想ですよ。3台あるレジで働く我々は、1日1人当たり200人前後のお客様とやりとりします。ファミレス、居酒屋、美容室など、数ある接客業でもこれだけ大人数を、次々お相手する商売はあまりないんじゃないか。老若男女、客層も様々。正直に言うと、お客さんには、いい人、悪い人、普通の人の3種類いるんです」
1980年代を代表する、萩本欽一さんのテレビ番組名『欽ドン!良い子悪い子普通の子』のようだ。
声を出してくれるのが店員にはうれしい
「いい人の代表は、いわゆる<ガテン系>の皆さんです。こわもてな感じがするかもしれませんが、作業着で来店した方で、嫌な思いをしたことは一度もない。うちのバイトの子たちもほぼ例外なくうなずきます」
店の近所で作業する人たちは、お昼に、そして仕事終わりにと、工事期間中、何度かやって来る。そのこと自体もありがたいはずだが、何よりうれしいのが彼らの「フレンドリーさ」なのだそうだ。
「声を出してくれるっていうのがうれしいですね。<店のなかはポカポカしてていいねえ><このジュースうまい?><へえ、よかった><細かいお金で払っちゃっていい?><ありがとね~>。レジでのわずか数十秒間のやりとりで、こちらの緊張がすっかりほぐれる。新人なんかは特にそうですよ」