新日本プロレスは東証上場の『ゴング』を鳴らせるか
ブシロード社長 木谷高明氏

プロレス人気が高まっている。その仕掛け人が2012年に新日本プロレスリング(東京・中野)のオーナーとなったカードゲーム会社のブシロード(同)の木谷高明社長だ。慢性的な赤字に苦しんでいた新日本プロレスは、木谷社長のもと無借金になり、今や約6億6000万円の純資産を持つ優良企業に変貌を遂げた。「2020年には、新日本プロレスの上場をめざす」との宣言を実行すべくまい進する。木谷社長の狙いと今後のビジョンを聞いた。
驚異的な業績回復
――新日本プロレスはこれまで経営者も次々に変わり、赤字続きの非常に厳しい経営が続いていました。カードゲーム会社を経営する木谷さんが、12年1月に新日本プロレスを子会社化した狙いは何だったのですか。
「プロレスが魅力あるキャラクターコンテンツだと考えたからです。我々の本業にも近い。潜在力があると思ったし、宣伝を増やせば人気も上昇すると確信していました。やり方次第だと」
「実際、新日本プロレスの業績は好調です。今期決算(16年7月期)では売上高32億円、経常利益は約4億1000万円です。ちなみに子会社にする前の売上高は約10億円でした。10年ほど前に1度黒字になったくらいで、赤字もしくはトントンがずっと続き、13億円ほどの債務超過でした。買収時、前の親会社に8億円程度で債権放棄してもらい、実質5000万円で買いました。4億5000万円の借り入れを引き継ぎましたが、これもすべて返済してもらい、現預金が5億3000万円あります」
――新日本プロレスは株式公開を計画、東証で上場記念の鐘を鳴らせるかが話題となっています。業績のV字回復のために、どのような戦略を立てたのですか。

新日本プロレスは40代男性のみならず、女性の間でも人気が上昇している。
「まずは我々の直前に経営していた会社のおかげだと思います。ゲームソフト開発のユークスという会社で、経費を徹底的に抑えて無駄なものを削ってくれていました。ユークスはゲームの開発受託会社なので、経費管理をきちんとしないと赤字になります。新日本プロレスについてもその方針だったのでしょう。しかし、このやり方には弱点もあります。攻めるのが苦手なのです。しかし私は攻める経営が得意です。子会社化してからは、私がいつもやっている宣伝戦略であおりました」