変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

部長も課員も、ヤマダさんなら大丈夫、と思っていましたし、昇進時にはダブル昇進祝いのパーティーも開かれました。

突如現れた暴君

しかしヤマダさんが課長になってから、課は紛糾してしまいます。特に女性主任の一人は精神的に参ってしまい、経営層に助けを求めてきました。彼女の意見はこういうものでした。

「どんな作業をするにしても、一段階ずつ報告を求められるんです。ヤマダさんがまだ係長の頃にはお互いの領域が違ったのでそれぞれ別にやっていたのに、課長になったとたんに細かい指示をするようになって……それだけならまだいいんですけれど、新卒くんに1時間以上もどなりちらすようにもなっていて、課はもうむちゃくちゃです」

たしかに、温厚だったはずのヤマダさんの表情は常に険しいものになり、部下たちも常に緊張している様子です。状況を知った部長があわてて面談をしましたが、こんな答えが返ってきました。

「部長に育ててもらったとおりにやっているだけです。悪いのは彼らです」

そう言い放ち、取りつく島がありません。

そういわずになんとか今までどおりやろうよ、となだめすかすと、さらにこういう答えがかえってきました。

「うちの課員たちは、ろくに仕事もできないのに自分ができていると勘違いしている連中だということがわかったんです。なのに、今は会社にとってもとても重要な時期じゃないですか。だから部長の時代よりももっと厳しく指導しないといけないと気付いたんです。ついてこられないやつはやめればいいと思っていますが、間違っていますか?」

部長は、たしかに重要な時期であり、彼らはまだまだ成長しなければいけないのも事実だけれど、それなりに仕事も覚えてきていて十分に働いてくれているじゃないか、だからもう少しやさしくしてみようよ、と諭しましたが、顕著な変化はみられませんでした。

事態は最悪の方向へ進んだ

やがて怒鳴られ続けた新卒が無断欠勤を繰り返すようになります。時に部長がヤマダさんを課員の前で叱り飛ばし、とにかくその行動をあらためるように指示をしても、部長がいなくなるとすぐにどなりちらす始末です。

新卒が無断欠勤を始めると、矛先は、経営層に相談をした女性主任に向かいました。机と叩きながらえんえんと説教を続ける中で、やがて女性主任は精神的に参ってしまいます。そしてとうとうヤマダさんが目に入るだけで体が震えてしまうようになり、出社できない状態になりました。

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