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「うちの生徒は面白い子というか、個性派ぞろいですが、担任団は自分の学年の生徒については、あの子はどんな性格で、学力はどんなものなのか、1人ひとり詳しく把握している」(和田校長)という。結果、6年間を見据えた授業を設計し、各教師の責任でしっかりとした授業を行えるのだ。

教師は「落語家集団」

和田校長は「教師は『落語家集団』ですわ。職員室は楽屋ですね」という。灘の教師陣も個性派の実力者ぞろいだ。「つまらない授業だと、生徒はすぐそっぽを抜く。だから授業内容は面白くて充実していないといけない」(和田校長)

中学の3年間をかけて中勘助の『銀の匙』1冊を読み上げる国語授業で知られた橋本武氏(故人)がその代表だが、他の教師もいずれも個性派ぞろいだ。

日本航空の大西賢会長

日本航空の大西賢会長

「徒然草が大好きな古典の先生も、いつも喜々として徒然草の話ばかりだった」と灘高出身で日本航空会長の大西賢氏は振り返る。

「他の古典は、そのぶん後で、自分で勉強しなければならないことも多いが、詰め込みではなく、生徒一人ひとりに考えさせる授業なので、面白くて、学ぶ楽しさを肌身で知ることができた」という。

一方で「理科系の科目は、最初に理論をササッと教えて、後はひたすら問題集の問題を解くというスタイルだった」というが、和田校長は「基本的には大西さんの時代とそんなに変わらないですね」と笑う。

灘の教師の4分の1は灘出身だ。他の教師は和田校長らが公立高校などの有能な教師をスカウトする。通常の公立高校の定年は60歳だが、灘は65歳、しかも再雇用で68歳まで働ける。非常勤講師なら70歳までも可能だ。

「有能な先生が安心して長く働けます。公務員よりボーナスも少しいいかな。6年間持ち上がり制を何回か繰り返して教師力を磨いてもらいますから、いい先生にすぐ辞められると困るんです」と和田校長はいう。

6年持ち上がり制、個性派教師陣はたしかに灘の特長だが、これであれほどの進学実績を上げられるのだろうか。和田校長は「では、面白い場所を見せてあげましょう」と校内を案内してくれた。

(代慶達也)

(下)日本最強の進学校はどこ? 灘校の広すぎる廊下 >>

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