開成・東大卒の脳外科医 なぜベンチャーに
メドレー代表取締役 豊田剛一郎氏
さらにメドレーは、医療機関の遠隔診療を支援する、オンライン通院システムのソリューション販売も開始。病院向けのビジネスを本格化している。この2つのサービスを支える人材は、東大医学部の同級生と後輩だという。両者とも医者としても有能な人材だ。「大学のなかでも2人ともすごく能力のある男たちだった。僕と同じような問題意識を持っていた」と豊田氏はいう。
「東大・開成人脈」をフル活用

開成中学・高校(東京・荒川)
日本の医学界の頂点に君臨する東大医学部。その卒業生は東大以外にも他の医学部の教授や大規模病院の幹部医師として迎えられるケースが多い。順当に出世すれば、まさに「白い巨塔」の主になれる特別な立場だ。
そんな「金の卵」たちが簡単に起業に走ると思えないが、豊田氏は「東大の医学生の親が医師というのは比較的少ない。医学領域の研究や医療にこだわっている人は少なくないが、医者という職業そのものに固執する人は意外と少ないかもしれない」と話す。
ほかにも豊田氏は法務統括責任者に東大法学部出身の弁護士、東大工卒でJPモルガン証券の出身者を最高財務責任者(CFO)にそれぞれ迎え入れた。両者とも開成の同級生らだ。
メドレーの社員はまだ115人。第2の創業から1年余りで、「業績の数字は未公表」という企業規模だ。しかし、その幹部人材は東大や一橋大学、早稲田大学卒の人材がひしめく。グーグル、リクルートなどの企業で活躍したキャリアを持つ社員も多い。一昔前であれば、ベンチャー企業の経営には参加しなかった面々だろう。
「僕がなぜ医者をやめたのか、周囲の人間も徐々に理解してくれるようになりました。我々はお金もうけ以上に、医療を通じて社会に貢献したい。本気です」と強調する豊田氏。スーパー頭脳集団、メドレーは日本の医療を変えるのだろうか。
(代慶達也)
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