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私は商品を紹介するために生きてきた人間です。社会問題や政治の問題を語る立場ではないので、おそらく番組に出演しても誰にもプラスにならない。経営者として景気の動向に触れてきた人間ですから、経済問題に対して取材を受けたことはありますが、「政治はどうだ」「オリンピックはどうだ」と私がコメンテーターとして何か発言しても視聴者に響くことは何も言えません。やっぱり、その世界を知り尽くしている人がやるのが一番です。

「伝えたい」学生、伝える難しさに直面

「何を伝えるか、誰に伝えるか、それをどう伝えるか」それは今も感じている課題だ

「何を伝えるか、誰に伝えるか、それをどう伝えるか」それは今も感じている課題だ

年末にはもう一つ、NHKの「東北発未来塾」という番組に出演しました。東北の大学生が東北の良さ、魅力を発信する3部構成の企画で、私はアドバイス役です。

4人の学生が東北の食や町について調べ、プレゼンしました。最後の審査ではジャパネットのMCがプレゼンを評価しました。

「何を伝えるか、誰に伝えるか、それをどう伝えるか」という3つの課題で学生が苦悩を味わうのですが、それは私が今も感じている「伝えることの課題」です。

常にそういう視点を持って、伝えることを学んでいかないと、伝えた「つもり」になってしまい、伝わらない。それはこの「出世ナビ」でずっとお話ししてきたことです。

番組を見られた方もおられるでしょうが、泣き出す学生もいれば、持ち時間を2倍以上もオーバーしても何を伝えたかったのか分からなくなる学生もいる。不完全燃焼で終わって悔しさを感じた学生もいます。その中で人生を学んだ、伝える困難を学んだっていうふうになってくれればいいと思います。

そのなかの1人の女子学生は、東日本大震災の津波で大きな被害に遭った宮城県女川町をプレゼンのテーマにしました。練習では伝えたいことが多すぎてメッセージが漠然としていたので、本番では写真もモニターも使わずに、一人しゃべりをするように指示しました。厳しい注文だと思いますが、練習の成果もあり結果は5人の採点者(持ち点は1人10点)の合計で39点。かなりの高得点です。

高得点をつけたMCは「楽しそうに東北の魅力を語っていて感動した」と太鼓判を押しました。その一方で、別のMCは「リハをこなした劇(プレゼン)を演じているようだ」として減点対象にしました。見る人によって見方は変わります。この番組で学んだことを彼らがこれからの人生に生かしてほしいですね。

高田明(たかた・あきら)
1971年大阪経済大経卒。機械メーカーを経て、74年実家が経営するカメラ店に入社。86年にジャパネットたかたの前身の「たかた」を設立し社長。99年現社名に変更。2015年1月社長退任。16年1月テレビ通販番組のレギュラー出演を終える。長崎県出身。68歳

(シニア・エディター 木ノ内敏久)

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