東大合格トップの開成、「楽しい」9割は本当?
開成中学・高校の研究(上)

マネックス証券の松本大会長も開成出身だ
開成中学の1学年の定員は300人、高校は同400人。ライバルの筑波大学付属駒場高校の160人、灘高校の220人と比べると、かなり多い。16年の東大合格者は開成171人に対して筑駒が102人、灘高が94人だから、学年当たりの東大合格率でいえば、筑駒がトップだ。とはいえ、開成は過去最高で205人が東大に合格するなど、合格率が5割を上回った年も何度かある。東大は1学年3000人規模のため、開成出身者は圧倒的な存在感だ。
開成「楽しくない」は1人
なぜ開成は35年も連続して東大合格トップを維持できているのか、その理由を柳沢校長は一言でこう答えた。「それは学校が楽しいからですよ」。拍子抜けするような返事だが、その裏付けとなるデータを見せてくれた。開成は毎年6月に「学校生活についての満足度」調査を実施している。
16年6月のデータによると、入学3カ月後の中学1年生が「楽しい」と回答した割合は89.2%、「まあまあ楽しい」の9.3%を加えると、なんと98.5%。逆に「あまり楽しくない」「楽しくない」と回答した生徒はそれぞれ3人、1人しかいない。小学校時代は成績がトップだったが、有名進学校に入学したとたんに優秀な生徒のなかに埋没し、学校嫌いになるという話はよく聞くが、本当に開成は楽しいのだろうか。
柳沢校長は「入学後3カ月で本物の開成生になる。実は私も感心するほど巧みに4~6月の学校行事は配置されています」と意味深なことをいう。
入学して1週間後。中学1年生の前に現れるのは高校3年生のまるで大人のような大先輩だ。4月下旬、先輩の指導の下、新入生全員がボートレースの対校戦の応援に駆り出される。
開成出身のマネックス証券会長の松本大氏(53)は「中学に入学したとたんに、高3の先輩からバカ野郎、返事は、『おう』だと気合を入れられた」と振り返る。これは開成生になるための儀式だという。