35歳でも遅くない! 市場価値が高められる人の共通点
ミドル世代専門転職コンサルタント 黒田真行
一方で、「キャリアアップの定説」とされてきたことにこだわり過ぎず、自分のチカラ(専門的技能より汎用的なスキル)を生かして貢献できる居場所を幅広く見ようとする方は、結果的に長く活躍できる傾向があります。慣れない環境で、ご本人の吸収意欲も高まることや、自分の経験やスキルを応用してなんとか貢献しようとするスタンスも功を奏して転職直後の印象がよいことから、周囲の支援も集まりやすいためです。
2.自尊心が過去よりも未来にある人
自己信頼やプライドを持っておくことは、精神的に余裕をもって働くために不可欠です。ただ、その自信の根拠が、仕事上の業績や経歴、年収など「過去のもの」に偏りすぎると、周囲とのかみ合わせがうまくいかなくなる傾向があります。
大変な努力をして難関大学を卒業したこと、激しい競争を勝ち抜き有名企業に入社したこと、高い壁を乗り越えて仕事で成果を生み出したこと、実績が社内で評価され重要なポストを任されたこと、それに連動して収入が増えてきたこと。どれもこれもご本人のたゆまぬ努力が実を結んだ、大切な成功体験であることは間違いありません。また、それらの成功体験によって自己信頼やプライドを積み上げてきた歴史も、胸を張って誇れるものだと思います。
「私は前職の大企業でこんな実績を残してきた」
「あの時の大規模プロジェクトを成功させられたのは、こんな努力をしたからだ」
「重責のポストを任され、高年収で処遇されてきた」
転職先の業界が前職と近いとか、前職より規模が小さい会社に移った場合、最初はそれらの勲章も光り輝いて見える傾向はありますが、過去の成功体験を語り過ぎると「昔取ったきねづかを振り回して威張っているだけの人」というイメージが周囲に広まり、煙たがられる存在になってしまいます。「過去の成功体験をよりどころにしている人=過去の人」と思われ、周囲の期待値を低下させる一因になってしまうからです。
逆に、過去の成功を胸に秘めながらも、そこからエッセンスやノウハウを抽出し、目の前の課題を解決する方法論を考えられる人は、周囲の期待値を高めやすくなります。「過去の知識を生かして、一緒に新しい成功体験をつくりだせる人=未来の人」という見え方になるからでしょう。そうした方にインタビューすると、たいていの場合「過去にあれだけの苦労を克服できたのだから、自分たちはもっと難易度の高い壁も乗り越えられるはずだ」という自己信頼が見え隠れします。
同じ時代を生き、似たような成功体験を持っていても、それを過去の中に封印してしまうか、未来に生かそうとするかという自尊心の置き方の違いで、市場価値が激変する興味深い事例といえるでしょう。
3.慎重すぎず、無謀でもない決断ができる人
自分自身のキャリアや市場価値を高め続けていくためには、能動的な選択をする必要があります。会社から与えられるミッションや機会を受動的に待っているだけでは不十分だということです。