減収150億円! ジャパネットの「責任の取り方」
ジャパネットたかた前社長 高田明氏(14)
世の中の人のために企業が成り立っていく中で人のためにならないことが現に起こっているのだから、それはいくら費用がかかっても問題を解決することが企業が果たさなければならないものの優先順位の一番に来るということです。
そうした思いは創業以来、私も妻も共有していました。不祥事が起きた時は、社是、経営理念に立ち返ることで、正しい判断ができると思うのです。私はそういう気持ちで社員たちと一緒に創業時からやってきましたから、あの時、その判断をさせてもらったことが一番良かったなと。
それが、「いやいや、もう番組も収録しているのだからテレビを止められない」とか「お金がかかりすぎる」といった我見で判断していたら、ジャパネットはとうに消えていたでしょう。常に何かあった時は理念に戻ってみる、そこで企業がどういう結論を出すかという答えはおのずと決まってくる気がします。
この事件の後、以前ご紹介した企業理念のクレド(信条)を作ったのも、私どもの考えをより全社に浸透させようという考えからです。皆でクレドを考え、作っていきました。

クレドをジャパネットの社員は常に携帯する(写真は歴代のクレド)
事件とその後のジャパネットの業績を振り返ってみましょう。
事件前の2003年の売上高は705億円でした。事件が起こった04年は663億円に減りました。事件がなかったら多分800億円を超えていたでしょう。体制を見直し再スタートした05年には906億円になりました。900億円を超えたというのは、お客様に対して感謝の言葉しかないです。
取引先やメーカーさんにもおわびに行きました。関係者の皆様のご支援により乗り切ることができたと思っています。企業というのはそうした様々なステークホルダー(利害関係者)の期待に応えていく責任があります。その取り組みの中から「クレド」ができたことは良かったと思っています。
100年続く会社、世間から認められる企業であり続けるために
「出世ナビ」の連載の最初に申しましたが、100年続く会社、世間から認められる企業であり続けるために、私は息子の旭人に社長を譲りました。ジャパネットたかたという社名は私が付けましたが、もはや高田明の個人商店ではありません。実際、現体制では持ち株会社のジャパネットホールディングスがあり、その下に7つの子会社がぶら下がっています。「たかた」という名を冠しているのは、バイヤーと各媒体の制作・企画をする部署がいる「ジャパネットたかた」だけで、残りの6社は「ジャパネット~」という社名です。