伝える技術に溺れるよりも、真摯な話しベタであれ
スタンフォード大学経営大学院 オライリー教授に聞く(5)
日本は第三の道を行け
佐藤:日本の経済成長はここ20年、鈍化したままです。スタンフォードの学生は日本から何を学ぶべきだと思いますか。
オライリー:日本人は自国に対して厳しすぎると思いますよ。「失われた20年の間に、私たちは世界から取り残されてしまった」と言いますが、日本にはまだまだたくさんの優良企業があります。スタンフォードの学生は、日本企業から長期的な視点や人を大切にする社風などを学ぶべきだと思います。
佐藤:日本の課題は何でしょうか。
オライリー:上司に忠実で、意見の対立を避ける傾向があることです。世界には多様な意見があり、こうした異なる意見がぶつかりあうことによって、イノベーションがおこるというケースも多いのです。
日本企業にはもっとチャレンジしてほしいですし、もっと決定のスピードを速めてほしいですね。アメリカ人のまねをしなさいと言っているわけではありません。アメリカ人のような迅速果断が常に正しいとは限りませんし、実用的でドライな社風も善しあしです。日本は第三の道を探すべきだと思います。「アメリカ人にならずに、アメリカ人のよいところを吸収できないだろうか」とぜひ考えてほしいですね。
佐藤:右手に日本古来の良さ、左手にアメリカの良さを携えて、両利きになるべきだ、ということですね。
※オライリー教授の略歴は第1回「日本企業必見!『イノベーションのジレンマ』解決法」をご参照ください。