給料が一気に倍!? 制度が後押し レア人材の市場価値
今ドキ出世事情~あなたはどう生きるか(21)
時代に関わらずレアな人材は存在していました。産業革命の時代であれば、蒸気機関を設計できる人はレア人材だったでしょうし、さまざまな技術発展に伴う新技術に関わる人材は常に希少性を持っていました。
より重要な変化は、それらの人材についての情報が入手しやすくなっているという点にあります。情報が瞬時に伝わり世界中に届くようになったことで、どこでどういう人材が求められているかがわかりやすくなりました。同時に、どこにどういう人材がいるのかということも格段にわかりやすくなっています。つまり、レアな人材についての労働市場が広がりつつあるのです。
そんな中で、人材を求める企業側は、レアな人材を確保するために様々な仕組みを採用しています。その中でも顕著な仕組みが、「逓増型」の給与の仕組みです。
レアカードの価値はおよそ倍になっていく
最近、弊社で設計した逓増型の給与の仕組みは、グラフにするとこうなります。

希少性が増すとともに、財の価値は増えます。その増え方は、たとえば50%の確率でしか手に入らないものであれば、2倍前後の価値になるでしょう。人材について定量的な判断は難しいのですが、少なくとも、「みんなの昇給は1万円だけれど、君はすばらしい実績をあげてくれたから2万円昇給します」ということでは不十分なのです。
「みんなには年収500万円を払っているけれど、君は来年から800万円にしましょう。来年もさらに活躍してくれたら1200万円にすることも考えます」という仕組みが必要になっているのです。
比較的私たちが耳にしやすい例で言えば、少々極端ですが、日産のカルロス・ゴーン氏の年収が20億円を超えているという話があります。わずか2年で2兆円の負債を返済し、その後も業績を高め続けている実績を考えれば、20億円の年収もまだまだ安すぎると考えられるかもしれません。
今の私たちがさらに成功するためには、自分自身の持つ専門性と実績について、希少性の観点からの確認と研鑽がより重要になっているのです。

セレクションアンドバリエーション代表取締役、人事コンサルタント。
1969年大阪生まれ。早稲田大学大学院ファイナンス研究科MBA取得。アクセンチュア、日本総合研究所をへて、2012年よりセレクションアンドバリエーション代表取締役就任。大企業から中小企業まで130社以上の人事評価制度改革に携わる。大阪市特別参与(人事)。