衝動買いも予算オーバーも 「決断疲れ」が原因?
スタンフォード大学経営大学院 レバーブ准教授に聞く(1)
提示する順番を変えると選択も変わる
レバーブ:その点についても調査しました。「この中から選んでください」と目の前に提示するカテゴリーの順番を変えると、顧客が最終的に選ぶものも変わってくるのです。何度も選択を重ねた後では、仮に次の選択肢が4種類しかなくても、「もう何でもいいです」となり、勧められるままに高いオプションを買ってしまうことがわかりました。最も安い金額で買った人と最も高い金額で買った人が支払った差額は1台あたり1500ユーロ(約18万円)にもなりました。
佐藤:これは最初に「決断を重ねると精神が疲労し、決断の質が下がる」ということを立証した実験となりましたが、なぜこの結果がこれほど世の中に影響を与えたと思いますか。
レバーブ:本当に車を購入する人を対象に調査したからだと思います。同じような実験を研究所で再現してみようとしましたが、うまくいきませんでした。決断しつづけると脳が疲れてしまうという現象は、本気で選んでいるときでないと見られないのです。
ジョナサン・レバーブ Jonathan Levav
スタンフォード大学経営大学院准教授。専門はマーケティング。実験心理学と行動経済学の手法を用いて、消費者の価値判断や選択を研究。MBAプログラムで選択科目「プロダクト・ローンチ」(新製品の市場導入)を教えるほか、世界中のエグゼクティブ講座でも教壇に立つ。2015年、学生が選ぶ最優秀教授賞を受賞。
スタンフォード大学経営大学院准教授。専門はマーケティング。実験心理学と行動経済学の手法を用いて、消費者の価値判断や選択を研究。MBAプログラムで選択科目「プロダクト・ローンチ」(新製品の市場導入)を教えるほか、世界中のエグゼクティブ講座でも教壇に立つ。2015年、学生が選ぶ最優秀教授賞を受賞。