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そして今年、大きな成果が出た。東大の理系に2人、京大医学部医学科に1人がそれぞれ推薦合格した。東大が推薦入試をスタートしたのは16年から。定員は100人だが、今年の合格者は71人という狭き門だ。とりわけ理系は「天才的な研究者の卵が欲しい」(東大教授)として、高校時代に際立った研究実績や数学オリンピックなど国際的な大会で記録を残した生徒でなければ、合格しないといわれている。

ES細胞、微生物の再生を研究

今年、東大の理系に推薦合格した広尾学園の男子生徒は「微分方程式の数理モデルを用いて、日本での携帯電話の普及率を分析し、将来予測をしていました」という。

同じく東大に推薦合格した女性は、「体内に近い環境である、低酸素濃度の条件下でMEF(マウスの胎児由来の線維芽細胞)やES細胞(胚性幹細胞)を培養すると、通常の酸素濃度の条件下で培養したときと比べて増殖能や未分化を維持する能力、代謝などにどのような違いが現れるのかという研究をしていました」とコメントした。その研究成果は校内の壁に貼られていたが、筆者には難解すぎて理解不能だった。

京大医に推薦合格した女子生徒は微生物の再生についての研究が評価された。広尾学園の特徴について「生徒たちに新しいことに挑戦させてくれる。中学生のうちからたくさんの講義やセミナーに参加でき、高校生になると、教える側の立場としても参加できるところがいい」と答えた。

人気がうなぎ登り、出願者4000人超に

東大の推薦枠は基本は1校1人、男女共学の場合は2人まで認められる。広尾学園の17年の東大合格者は計6人、うち2人が推薦合格だ。早稲田アカデミーなど進学塾関係者は「広尾学園の人気は急上昇し、偏差値も上がっている。今後、東大合格者はどんどん増えるだろう」という。確かに同校は志願者がうなぎ登り。17年の中学の出願者数は4000人を突破し、5年前の2倍近くに増えている。

日本の大学はペーパーテストを重視し、国英数などの幅広い知識をまんべんなく吸収していることが要求される。しかし、「東大が推薦入試をスタートしたことで、多様性のある人材を求めるようになった。我々の教育にも光が当たってきた」(田辺校長)という。現場の教師陣が変えた広尾学園。新タイプの進学校になりそうだ。

(代慶達也)

「学校のリーダー」は随時掲載です。

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