「仕事は得意かも」 桜蔭で落ちこぼれ、はたと気づく
経沢香保子・キッズライン社長が語る(上)

東京大学合格者数で全女子校のトップに立つ、私立中高一貫の桜蔭中学・高校(東京・文京)。卒業生の一人に、ベビーシッターサービスを手掛けるキッズラインの経沢香保子社長(43)がいる。経沢氏は、2012年当時、最年少で会社を上場させた女性経営者としても有名だが、「桜蔭時代は完全な落ちこぼれでした」と明るく振り返る。
受験勉強で眉毛が半分になった。
「これからの時代は女性も自立して生きる時代になるよ」。専業主婦だった母は、私の人生の軸になる気づきを幼い頃に与えてくれました。まだ、寿退社が普通だった時代です。自立して生きていくには教育が重要だと考えていたようで、自然と中学受験を目指すようになりました。
ただ、厳格な父は、「一番の学校なら私立でもいい」と言うので、私立に行くなら、桜蔭に合格するしかないと、必死に勉強。小学5年の時に本格的に受験勉強を始めましたが、それからの2年間は、勉強が中心の生活だったように記憶しています。
塾も2つ通いました。四谷大塚と小規模の四谷大塚対策の塾と。四谷大塚は、毎週テストがあります。対策用の塾では、四谷大塚の成績が発表になるとその成績順で座る場所が決まっていました。みんな優秀な生徒ばかりだったので、私は4列あるうちの前から3列目が、指定席でした。
小学生ながら気をもむ日々だったのかもしれません。6年生のある日、気付いたら眉毛が半分になっていたことがありました。勉強にあまりに集中するうちに眉毛を抜いてしまっていたようです。今思い出すと笑えるエピソードです。