「仕事は得意かも」 桜蔭で落ちこぼれ、はたと気づく
経沢香保子・キッズライン社長が語る(上)
そんな毎日を過ごしていただけに、桜蔭中学に合格した瞬間は、すごくうれしかったです。受験勉強は「努力すれば結果が出るんだ」ということを小学生のときに体験できた貴重な経験でした。私は忍耐力がありコツコツ努力できるため、経営をやってこれたと思うのですが、完全にそのときの経験がベースになっていて、両親には感謝しています。

「マイペースでやっているうちにどんどん差が開いた」と笑う
桜蔭では完全に落ちこぼれた。
草野球ではピッチャーで4番、毎試合ヒーローだった選手が、いきなり大リーグの試合に出て、全然通用せず、途方に暮れる。桜蔭時代をふりかえると、勉強に関しては、そんな感じだったのかもしれません。
しかも、私は、桜蔭に入ったことですっかり満足していまい、せっかくの勉強の習慣をやめてしまいました。対照的に、まわりのクラスメートはコツコツ東大を目指して勉強をしていました。正直、私はあまり勉強が向いていなかったんだと思います。みんな本当に頭がいいし、息をするように勉強する。私だけマイペースでやっているうちに、クラスメートとの差がどんどん開いて行きました。
もっとも、初めは自分の成績が他の人と比べてそんなに悪いとは思っていませんでした。桜蔭は他の多くの進学校と違い、個々の生徒の成績を発表したり、生徒を順位付けしたりすることはしません。分かるのは自分の点数と全体の平均点だけ。ですから、自分が全体の何番目くらいなのかまったくわからない。成績がよくないことはなんとなく自覚していましたが、そんなに悪いとも思わず、あまり危機感がありませんでした(笑)。おそらく高校卒業時の成績は、下から数えたほうが早かったんだろうと思います。