「仕事は得意かも」 桜蔭で落ちこぼれ、はたと気づく
経沢香保子・キッズライン社長が語る(上)
でも、あえて生徒同士の競争心をあおるようなことをせず、一人ひとりの自主性に任せる桜蔭の教育方針は、非常に素晴らしいと思います。なぜなら、まず、むやみに自分と他人を比較せず、人は人、自分は自分という発想を持つようになります。そして、競争は常に自分との競争であり、負けても不利な状況になっても、けっして他人のせいにしたりしないという態度も身につきます。先生も、成績の悪い生徒に対して小言を言うようなことはありません。あくまで各自の自主性に委ねる。こうして、桜蔭生は自立心が養われていくのだと思います。
文化祭のお茶漬け販売で大成功した。
勉強はだめでしたが、文化祭では活躍しました。中でもよく覚えているのは、高校2年の時に企画したお茶漬け店です。市販のお茶漬けの素をご飯にかけ、野沢菜かシャケを添えるというだけの、簡単なものでしたが、文化祭でお茶漬けという発想が新鮮だったらしく、大繁盛。「日常茶飯事(ちゃめしごと)」という店名も受けたのかもしれません。先生にもすごく褒められました。
もう時効だと思いますが、高校時代、学校に隠れてアルバイトもしました。夏休みの間だけでしたが、大手学習塾の事務局の手伝いなどをしました。社員の方から仕事ぶりを高く評価してもらい、仕事って楽しいなと心底思った記憶があります。
文化祭での体験やアルバイトの経験から、自分は勉強はできないが仕事は得意かもしれないと、ひそかに思うようになりました。
授業でも、主要科目、特に歴史のような記憶力を必要とする科目の成績はさっぱりでしたが、美術や体育、音楽など芸術系、そして、数学も比較的得意でした。
そんな自分をコンピューターに例えると、メモリーの容量は小さいが、CPU(中央演算装置)は高速回転できる。だったら、将来は発想力や創造力を生かして、人のやらないような発想で勝負してみたい。そんなキャリアの青写真が、ぼんやりとですが見え始めていました。
(ライター 猪瀬聖)
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