法政、なぜ関東の志願者トップ 和服総長の勝利宣言
法政大学の田中優子総長に聞く
その後、法政の女子学生の比率は徐々に高まり、2000年代に入ると、3割にまで達したが、その後は停滞。しかし、田中総長が就任した14年の31.8%から17年は34.5%にまで上昇した。明らかに「和服総長」効果で女子学生が増えている。田中総長は教授から学部長、そして総長に登り詰めるなかで女子学生の比率向上に努めてきた。きめこまやかな女性目線で施設の改築などにも気を配る。
第3のトイレも必要
「男子・女子トイレだけではなく『第3のトイレ』も必要ではないかしら。LGBT(性的少数者)の時代ですから。私は法政で『ダイバーシティ宣言』もまとめた」と田中総長は話す。市ケ谷のキャンパスでは老朽化した施設が次々更新を迎えているが、女子学生のみならず、LGBTの学生の利用も意識した改築を検討するという。

田中総長は「今は学生の定員を増やせないし、法政には余分なお金はないんです。私がメディアなど公の場で法政をアピールするのが一番安くてすむのは事実。総長として3年間取り組んできたのは法政とは何かという『大学憲章』を定め、これをベースにブランド化し、発信力を高めることだった。その成果は確実に上がっていると思う」と話す。
16年、法政は教員や在学生、卒業生の活動状況などを発信するウェブサイト「法政フロネシス」を開設。同サイトを通じて、長期ビジョン策定の一環として2月に制定した基本方針「自由を生き抜く実践知」を養うという考え方を学外に発信を始めた。
■早稲田落ちにメッセージ
4日、法政の市ケ谷キャンパスはクラブ活動に勧誘する学生や新入生であふれていた。見た目には半分近くが女子学生だ。「私が入学式で法政が志願者で関東でトップになったと強調したのは、『不本意入学生』に対してのメッセージでもあったんです。やはり早稲田落ちの学生とかが少なくない。だからあえて自信を持ってと話したのです」。半世紀にわたって「法政を愛し、愛された」田中総長はりんとしてそう答えた。
「女性総長効果で男くさい法政のイメージは一新した。明治に合格しても法政に進む女子もいる」(大手進学塾)。4月、田中総長をトップとする新たな理事会体制が発足した。任期は2017~2020年度。和服総長の「細腕繁盛記」はまだ続きそうだ。
(代慶達也)