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●企業のメリット
本来は無いはずなのですが、人員が調達できないので背に腹は代えられないというところでしょうか。
●企業のデメリット
(1)割増賃金コスト増
(2)さらなる採用難、離職率アップ
などが挙げられます。今後、育児に加えて介護のために労働時間に制約がある人が増加します。彼らを雇用の対象にできない企業は、採用難に加えて離職率アップの影響を避けられません。
●個人のメリット
割増賃金による所得の増加
●個人のデメリット
(1)インプットする時間がなくスキルアップができない
(2)プライベートの負担
長時間労働に伴い家族との関係性に問題が生じる可能性が挙げられます。日本男性が家事労働に参加ができていないことが、家庭に及ぼす影響も危惧されます。さらに、健康に支障をきたすことも想像に難くありません。

以上のように、企業、個人の損得を整理すると、企業も個人も明確なデメリットがあることが分かります。

今後の労働時間と生産性についての選択肢

これからの日本では、育児に加え、介護が誰にとっても身近な問題になってきます。企業側も同様に、制約がない従業員を前提に人事を考えることは困難になります。時間限定社員=標準社員となり、長時間労働が可能な人は減少していきます。これを踏まえて、どのように人材を確保し、業績を上げていくかを企業が本気で考えていくべきタイミングになっています。

つまり、今よりも短時間で成果を上げる生産性向上に、これまでにない知恵が必要になってきます。そして、生産性向上の実現により、従来の二つの選択肢に加え、第3の選択肢が出てきます。

Q.あなたならどちらを選ぶ?
(1) 労働時間が長く、給与が高い会社
(2) 労働時間が短く、給与が低い会社

に追加される選択肢は、

(3) 労働時間が短く、給与が高い(≒生産性が高い働き方を実現している)会社

です。そして今後、こういう企業が増える可能性があります

あなたの会社はいかがですか。今後、転職、就職の際に労働時間の長短と生産性向上施策を一つの参考にされてはいかがでしょうか。

※「次世代リーダーの転職学」は金曜更新です。次回は5月19日の予定です。連載は3人が交代で執筆します。

中尾隆一郎
 
リクルートワークス研究所副所長・主幹研究員。リクルートで営業部門、企画部門等の責任者を歴任、リクルートテクノロジーズ社長などを経て現職。著書に「転職できる営業マンには理由がある」(東洋経済新報社)、「リクルート流仕事ができる人の原理原則」(全日出版)など。

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