ビール王者復活へ「まず1勝」 キリンの布施社長

キリンビールの主力商品「一番搾り」
「私はカリスマだ」。2009年、サントリーとの経営統合を画策、M&A(合併・買収)に1兆円の資金を投入し、グローバル企業への道をひた走ったキリンホールディングス(HD)社長の加藤壹康は自らこう言い切った。経営統合交渉から5年ほどたったころ。「そろそろ昔話でも」と持ちかけて東京駅近くの居酒屋で会った、その時のことだ。すでに出身地である静岡に引っ込んでいたが、現役時代と変わらず自信に満ちあふれ、生気がみなぎっていた。
その加藤と布施は全くタイプが違う。しかし、共通しているのは「キリンという会社は変わらなくてはならない」という危機感にも似た意識だ。しかも「根こそぎ、大きく変わらないと」と考える点でも一致している。
そのためにもまずは1勝。学生時代に打ち込んだバレーボールで「小さな勝利が大きな流れを変える」ことを学んだ。それを今、経営でも確かめたいと考えている。
=敬称略
(前野雅弥)