開成を蹴っても都立西高 ハーバードの授業体験も
都立西高校の宮本久也校長に聞く

ハーバード大学の授業に参加した西高生(2014年3月)
さらに西高は新たな「付加価値」も生み出そうとしている。14年春から西高はハーバード大学やマサチューセッツ工科大学(MIT)など米国のトップ大学で、生徒に体験授業を受けさせる独自プログラムをスタートした。
ハーバード・ビジネススクールを体験
「第1回目はハーバード・ビジネススクールの本物の授業に参加しました。夏休みを利用したキャンパスツアーを実施している高校はたくさんあります。しかし、実際に授業を受けたり、研究活動に参加したりする試みはほとんどやっていないと思います」と宮本校長は語る。実際の体験学習は春休み中の10日間だが、前年の11月から4カ月間は事前研修にあてる。生徒たちは自ら集まって英語力を磨いたり、「アメリカ研修ジャーナル」と呼ぶ「新聞」を発行したり、自発的に学習するという。
募集人数は40人だが、希望者は80人前後に上る。「実は西高生の6人に1人は帰国子女です。多様性のある高校で、グローバル志向が強い生徒が多いのですが、海外経験のない生徒もどんどん挑戦している。最近ではこの海外研修に参加したいと西高を志望する生徒も増えています」という。宮本校長は、埼玉県立浦和高校など首都圏の有力公立高校と組み、さらに海外の教育機関との連携を深めようとしている。
西高は、政界や経済界、文化・学術界に多様な人材を輩出してきた。旧国鉄の分割民営化を推し進めたJR東海名誉会長の葛西敬之氏やヤマトホールディングス会長の木川真氏のほか、医師で作家の鎌田實氏、言語学者の金田一秀穂氏、小説家の阿刀田高氏など多士済々だ。自由な校風で部活重視の西高。日比谷とともに、都立高復活の象徴的な存在といわれるが、グローバル化でも一歩前進しようとしている。
(代慶達也)