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CBREでは、そのように働く空間を好きに選べるメリハリのきいたオフィスを一般的なフリーアドレスとは区別する意味で、「ABW(アクティビティーベース型ワークプレース)」と呼んでいる。空間のニーズとして世界的に人気が高いのは社内カフェで、社内託児所など運用に手間がかかるものは敬遠される傾向にあるそうだ。

ごみ箱を減らして社員を動かす

オフィスの移転・集約と同時に力を注いだのは、紙の削減だ。契約書など長期間保管しておかなければならない書類はすべて倉庫へ。現在実施中のプロジェクトに関係する書類だけをオフィスに保管し、残りはデータベース化した。結果、「92%の紙を削減することに成功した」(金子氏)という。

CBREのワークプレース・ストラデジー担当で、ノースアジア・シニアディレクターの金子千夏氏

CBREのワークプレース・ストラデジー担当で、ノースアジア・シニアディレクターの金子千夏氏

CBREの社内を見学していると、ごみ箱の少なさにも驚く。2フロアにまたがるオフィス全体で、ごみ箱があるのは10カ所。気分を変えたいときばかりではなく、ごみを捨てる際にも必ず人が動く仕掛けになっている。

「ごみを捨てるまでの道のりで、社内のいろいろな人に会います。プロジェクトの担当者と偶然居合わせ、そこで立ち話をしたら用件が済んだということもある。ここはそういう偶発的な出会いを狙ったオフィスでもあるのです」(金子氏)

ワークプレース改革の肝はITを使いこなすこと

ワークプレース改革における影の立役者はIT(情報技術)部門だった。デジタル&テクノロジー部門のシニアディレクター、マンズール・マハタボ氏は「ワークプレース改革は我々IT部門の人間にとっても非常に大きなインパクトのあるプロジェクトでした」と話す。

「IT部門は従来、社員でさえも自由に出入りできない、パーテーションに囲まれたセキュリティーの高いスペースで働いていました。姿は見えないし、あそこは何をしているのかよくわからない部署だと思われていました」

紙を減らすためにはどうしても、ITをフル活用しなくてはならない。13年に移転プロジェクトが動き始めると、メンバーはそのために必要なパソコンの入れ替え、データの移行、ネットワーク環境やアクセスポイントの整備、セキュリティーの設計などで大忙しになった。

「移転に伴い、全部で47台あったプリンターを10台まで減らしました。加えて、以前は紙ベースでファクス送信していたものをインターネットファクスに変えました。『インターネットファクスって何?』『そんなに台数を減らしたら行列ができるのでは?』という不安の声も多かったです」

不安を解消するため部分的に原寸大模型を作り、実際の動きをシミュレーションした。固定電話を減らす代わりに導入する「IP電話の使い方」講座を開くなど、ITに関わるテーマだけで、35回も従業員向けのトレーニングを実施した。移転後はフロアの一角に専門の駆け込みブースを設置、部員が交代で従業員からの質問に応じている。

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