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ブースで社員からの質問を受けているデジタル&テクノロジー部門の樋口明子氏に「一番多い駆け込みは?」とたずねると、「アカウントがロックされてしまった悩みです」との答えが返ってきた。

フリーアドレスで部下の管理に悩む中間管理職

CBREでワークプレース改革に戸惑ったシニアディレクター(営業担当)の一人に、話を聞くことができた。

「30年以上この会社に勤めています。以前はわからないことがあるとすぐ部下に聞いたり、アシスタントに『これやって』と頼んだりできました。しかし今のオフィスになってからは、部下がどこにいるのかもわからない。これはもう、自分でやるしかないと思いました」

オフィスの一角には昼寝ができるスペースも

オフィスの一角には昼寝ができるスペースも

固定席の時代は、朝、出社して、部下の顔色を見ながらその健康状態を把握したり、指示を出したりできた。しかし、今は部下の健康や心理状態、仕事の進捗状況などを視覚的に把握できないことがもどかしいという。

「『最近、彼みないね』と部下に話したら、『何を言っているんですか、休みをとって海外に行っていますよ』と言われたり。すべてをデジタルな情報で把握しなければならず、以前のような勤怠管理はできなくなりました」

ただし、慣れてしまえば「いいこと」もあったという。

「情報がバーチャルに蓄積されていますので、データベースにアクセスすればいつでも自分で調べられる。いちいち会議の議事録をとって情報共有しなくてもよくなった分、生産性という点では向上しているかもしれません」

移動中のリモートワークも可能。「働き方改革」で、会議も日中、短時間に集中して開くようになった。取材をしながら、ワークプレース改革の本丸はむしろ、このような「マネジメント改革」にこそあるのかもしれないと感じた。

担当した金子氏も言う。

「社員の電話の応対や顔色を見てマネジメントしていた管理職は、たしかに戸惑うかもしれません。若い社員の側にしても、先輩や上司がいつも見ていてくれるわけではありませんから、わからないことは自分から積極的に質問するなど、自立した働き方が求められるようになります。仕事の成果に関しても『頑張っているね』という曖昧なものではなく、具体的な数字でアピールしないといけなくなる分、大変かもしれませんが、働き方改革に取り組んでいる企業にも、自発的に行動できる社員を育てることにより、企業全体の生産性をあげる風土づくりに取り組んでほしいです」

(ライター 曲沼 美恵)

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