転職先は「生産性」で選べ! 変わる有望企業の基準
リクルートワークス研究所副所長 中尾隆一郎

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就職先や転職先を探す際にあまり語られることはないのですが、企業選びの重要な要素の一つに「生産性」という観点があります。なぜ生産性が重要なのか? 今回は、その理由に迫ってみました。
Q.あなたならどちらを選ぶ?
(1) 生産性が高い会社
(2) 生産性が低い会社
(1) 生産性が高い会社
(2) 生産性が低い会社
日本企業の生産性はなぜ低い?
「生産性の高い会社、低い会社のどちらを選ぶのか?」という質問に対して、「(2)生産性が低い会社」を選ぶ人は少ないと思います。生産性が低い会社は、業務にムダが多く、生産性が高い会社に早晩淘汰されるのではないか、と考えるのが一般的だからです。
ただ、日本と欧米企業を比較すると、日本企業の生産性は低いという話もよく聞きます。もし本当にそうだとすると、日本企業に在籍している=生産性が低い会社を選んでいることになり、判断と行動が矛盾している気もします。しかし、それ以前にそもそも問題を難しくしているのが、この「生産性とは何か?」という定義の問題です。
一般的に生産性とは、何らかの成果を時間や投入コストや従業員数で割った数値であることは想像できます。例えば成果と労働時間の関係で考えると、仮に成果の量と質が同じであれば生産性を高めるためには、より労働時間を短くすることが生産性を高める正しい答えになります。
ところが、日本企業では、長期間にわたり労働時間は減っていません。例えば、国内総生産(GDP)を国の成果だとして、国民一人あたり、あるいは労働時間あたりで割り、それを国の生産性だと仮定し、諸外国と比較すると、日本は先進国中で最下位となります。この主要因は労働時間が相対的に長いことに起因しています。