日本企業が求める人材像、2030年にはこの2タイプに!?
リクルートワークス研究所副所長 中尾隆一郎

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「働き方改革」が叫ばれる昨今、企業に求められる人材像も少しずつですが確実に変化し始めています。そのような中、転職先を探す際に、「その企業でどのようなタイプの人材が活躍しているか?」を確認することの重要度が増しています。自分自身の目指すキャリアイメージと企業が求めるタイプが合致していることが、転職後に良好な関係を築くために不可欠な要素だからです。
今回は、これから企業に求められるタイプが、ゼネラリストか、スペシャリストかという点に焦点を当ててみました。
(1) なんでもできるゼネラリスト
(2) その人しかできない分野をもつスペシャリスト
ゼネラリストはオールマイティー、スペシャリストは専門家?
一般的に、広範囲な知識や技術、経験をもつ人材をゼネラリスト、特定分野に深い知識や優れた技術をもった人材をスペシャリストと呼びます。日本企業は若い間に基礎力を鍛えることにはたけていますが、その後一人ひとりをプロに育てていく過程には弱い傾向があるといわれています。
基礎力を養成する期間を「筏(いかだ)下り」、その後プロとして専門力を磨く期間を「山登り」に例えると、どの山にも登らずに一生を過ごしてしまうビジネスパーソンも少なくありません。自分自身で明確なキャリアイメージを持っておかないと、結果的にゼネラリストにもスペシャリストにもなれない、というどっちつかずの状況になる恐れすらあります。
また、日本企業は人事異動や転勤などによる人事ローテーションで、さまざまな部署、職種、地域の経験を積ませようとする傾向があります。そのおかげで、部門を超えた社内人脈をつくることができ、社内調整はどんどん得意になっていきます。ただし、この「社内」がくせものです。このようなローテーション経験だけでキャリアが構築されていくと、広範囲な社内知識、社内技術、社内経験を持つ「社内限定ゼネラリスト」になってしまうからです。
一方のスペシャリストについても、「社内スペシャリスト」にすぎないスキルしか持てなくなるという可能性があります。社内ではその人しかできないが、社外にはその人より高いレベルの専門家がたくさんいたり、テクノロジーの進化によってその専門性が陳腐化したり、容易に代替されたり、という話も、実際によく聞きます。