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フジマルのワイン

フジマルのワイン

「デラウェアのワインが不人気なのは、そもそもワイン用に栽培していないブドウから造られたワインが多いから。芽かきをするなどして収量を大幅に減らし、実の糖度を高めれば、アルコール度数も上がって濃縮感のあるおいしいワインになる」と、シニアソムリエの資格も持つ藤丸氏は語る。

藤丸氏は大阪だけでなく、山形や長野、山梨などの契約農家からもブドウを購入しているが、大阪のブドウの生産量が増えたため、他県のブドウを大阪の醸造所だけでは処理しきれなくなった。そこで、東日本のブドウ産地から比較的近い場所に新たにワイナリーをつくる必要を感じ、清澄白河フジマル醸造所を建てた。鉄工所だった建物を借りてワイナリーにつくり変えたのは、島之内と同じ手法だ。

誕生、ワイン・ベンチャー

そもそも藤丸氏は、高校3年の時、阪神大震災で自宅が半壊。小遣い稼ぎのために大学在学中に始めたホテルのアルバイトがきっかけでワインにはまり、ワイナリーで働くことを夢見るようになった。

道は平たんではなかった。ワインの勉強をするため、20代後半で会社を辞めてオーストラリアに渡った時は、何のつてもなく、飛び込みで雇ってもらったレストランで皿洗いから始めた。帰国後、ワイナリーの開設資金を作る目的でワインショップを開いた時は、開業資金を友人から借りた。ワイナリーを開こうにも、醸造免許がなかなか下りなかった。栽培・醸造のやり方は、ショップ経営の合間にニュージーランドや大阪府内のワイナリーで働きながら学んだ。

いつも、夢だけは手放さなかった。「迷ったときは、できない理由を探すより、できると信じて前に進んだ」と振り返る藤丸氏。現在は、東阪のワイナリーに加え、ワインショップ6軒、レストラン7軒を経営。今年からは自社ワインの輸出にも乗り出した。

最近は、ベンチャー起業家を目指す人たちを対象にしたイベントにも、よく呼ばれる。「自分をベンチャー起業家と思ったことは一度もなかったが、最近は、ああ、そうなのかなと思うようになりました」と笑う。

(猪瀬 聖)

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