社長はつくれない、常務になったら覚悟を アサヒ会長
アサヒグループホールディングスの泉谷直木会長(上)

アサヒグループホールディングスの泉谷直木会長
業績好調なアサヒグループホールディングス。かつて「スーパードライ」で一世を風靡し、キリンから国内ビール市場で首位を奪取したアサヒ。「第三のビール」事業などでもシェアを伸ばし、好業績を歴代トップのそばで支え、自らもトップに立ったのが泉谷直木会長だ。「先輩たちからのバトンリレーのおかげ」と語る泉谷会長に、リーダーの育て方や条件を尋ねた。
リーダーとボスは違う
――泉谷さんが考える「リーダーの条件」とは。
「私の考えるリーダーの条件は3つある。1つは人間性、2つは資質、3つは能力だ。人間性とは、強い責任感と当事者意識を持っているかどうかだ。リーダーは大きな物事を決める覚悟を求められたり、泥をかぶったりするのだから」
「資質は『精神力』『自律』『譲れない一線を持つ』この3要素だ。経営者は、自分で決めなければならないので、とても孤独だし、ぶれない経営をしなければならない。だから、自分が譲れない一線を持たないといけないね」
「能力とは『戦略構築力』『目標達成能力』『リーダーシップ』の3つだ。外部環境がどんな状況でも、部下が誰であっても、勝てる戦略を組み立て、さらにその目標を達成する力が必要だ」
「『リーダーシップ』とは、現場のモチベーションを上げ、全員に1つの目標に向かわせる力のことだ。最初は全員の足並みがそろわなくてもいい。1~2割のメンバーでスタートしたとしても、ゴールは全員でやる。これがリーダーシップだと思う。ゴールが一緒なら思いを共有できるので、次のチャレンジに向かえる。リーダーの条件は、この3つだと思っていて、私は今も挑戦しているが、残念ながらうまくできているとはいえないね」