さらばウェルチ SAP、ネット世代生かす交流型考課
独SAP最高人事責任者のステファン・リーズ氏
――ミレニアル世代の好む環境を整えることは、企業の業績やビジネスに効果がありますか。
「もちろんです。企業は、長期的な視点も持たなくてはなりません。持続的な成長を可能にするためには、いくつか重要な要素があります。『会社が継続的にイノベーションを起こす』『ビジョンや目的のために会社が動いている』『グローバルなキャリアのチャンスを提供する会社である』『人々が働いてみたいと思える会社である』という点です。これが、世界で競争力を維持し、成長し続けるための源泉です」
「今働いている社員の役割も大切です。この会社で働きたいと面接にきたり、社員に会ったりした人が『先輩社員がすばらしい』と感じたら、その経験を周りに伝え、よい評判が広がります。我々と関わった人に、ポジティブな感情を持ってほしい。さらに、当社で働けばチャンスが得られ、キャリアを磨くことができる、ここで働く経験はすばらしい、と多くの人に感じてもらえれば、会社にとって大きなプラスになります」
評価の方法も若い世代を意識した
――SAPの人事評価・考課制度はどのようなものですか。

独南部バルドルフにある本社=SAP提供
「これまでは、個々に目標を設定し、1年ごとにその達成度と結果を測りフィードバックする、というシステムでした。これは、1980年代に米ゼネラル・エレクトリック(GE)のジャック・ウェルチ最高経営責任者(CEO)が提唱したやり方にならったのです。以前は非常に有効な方法でしたが、そのやり方を終えようとしています」
「今、我々は『SAPトーク』と呼ぶ新たな評価システムを使っています。モバイル端末などを使い、上司と本人が常に対話し、フィードバックするしくみです。たとえば、今日ある人とミーティングをしたらすぐに上司に連絡し、その場で振り返って、継続的に評価やアドバイスを受けます。これまでの1年ごとの評価から、継続的な対話による評価へとアプローチがかなり変わりました」