変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

 デーブが亡くなってからわずか数週間後に、デーブが参加するはずだった父と子の催しのことでフィル(編集部注:夫妻の友人)に相談した。だれかにデーブの代わりをお願いする計画を2人で立てた。「でも、デーブにいてほしかった」と、つい弱音を吐いてしまった。フィルは私の肩に腕をまわし、励ましてくれた。「オプションAはもう無理なんだ。ならば、オプションBをとことん使い倒そうじゃないか」。
 完璧な人生なんてあり得ない。だからみんな、なんらかのかたちの「オプションB」を選ばざるを得ない。
(はじめに 17ページ)

本書のタイトル『オプションB』とは、次善の策といった意味です。夫がそばにいることも含めて成り立っていた「オプションA」が消え、「B」以下の策を考えるしかなくなったのです。

「書く」ことで感情を整理

悲しみのどん底にあったサンドバーグさんを支えたのは、周囲の友人や家族、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)をはじめとする職場の人たちでした。サンドバーグさんは、考えたことを思いつくままにひたすら書き出す「ジャーナリング」という手法によって自分を取り戻していきました。それを始めたのは、夫が亡くなって4日後、葬儀を控えた朝のことでした。

最初の一文「今日これから夫を埋葬する」に始まり、5カ月間で10万字以上を書き記したといいます。

 書くことは、自己への思いやりを身につけるための強力なツールになる。ある実験で、参加者に自分がいやになるような失敗や屈辱的なできごとを思い出してもらった。大事な試験でしくじった、運動会のリレーで転んだ、演劇の舞台でセリフを忘れた、など。そして、同じ失敗をした友人をなぐさめるようなつもりで、自分宛てに手紙を書いてもらった。結果、このように自分にやさしくした人たちは、たんに自分の長所について書いた対照群にくらべ、幸福感が40%高く、怒りの度合いが24%低かった。
(4 自分への思いやりと自信 84ページ)

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