「僕は孫さんを超えますよ」 異才96人は未来の人材
孫正義育英財団の異才支援プロジェクト
「今後、4年間で米欧、アジア、南米など世界7カ国・地域を回りながら、色々な勉強をします」。北海道出身の片山晴菜さん(18)は明るく話す。米ミネルバ大学に日本人初の合格を果たし、進学する予定の片山さん。この大学は米国に1年滞在した後、半年ごとに韓国、インド、ドイツ、アルゼンチン、英国、台湾にそれぞれ渡って、現地で生活しながら、ネットなどを活用して学ぶ。片山さんも帰国子女ではないが、全国高校生模擬国連大会に参加、インターナショナルスクールで学び英語は堪能だ。この際の奨学金は「ユニクロ」を展開するファーストリテイリング会長兼社長の柳井正氏の財団が助成、次は孫財団の支援を受けるわけだ。海外留学には多額の負担がかかるが、片山さんは「親から親孝行な娘だといわれた」と笑う。

東大院生の三上智之さん
「今、生物の進化について研究中です」。東京大学大学院で生物学を専攻中の三上智之さん(24)。この4人の中では最もイメージしやすい従来型の秀才だ。ラ・サール高校(鹿児島市)時代に国際生物学オリンピックに日本代表として2度参加し、それぞれ銀メダルを獲得した。「起業したいとか、海外留学とか、いまは考えているわけではないのですが、自分と違うタイプの人たちと交流したいと考え、孫財団に応募しました」という。
孫氏は、なぜこの財団をつくったのか。日本は画一的な教育を施し、異才が育ちにくい風土がある。米マイクロソフトのビル・ゲイツ氏やアップルのスティーブ・ジョブズ氏ら異能の経営者と渡り合ってきた孫氏は「これじゃ世界のリーダーには勝てない」と昔から嘆いていた。
孫氏、山中教授と意気投合
16年、山中教授と会った時に「我々で未来のリーダーとなる異才を支援しよう」と意気投合した。孫財団の源田泰之事務局長は「様々な人や学校の紹介を受けながら、異才を探し回りました。今回は日本人が中心でしたが、対象は世界の異才です」という。ネットなどでも募り、約1100人の応募があった。書類選考後に面接し、数学オリンピックの経験者らによって学力も確認した。最終選考に残った110人の中から96人を選び出した。