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 96人は、まず1年間は準会員となる。その後、改めて審査を受け、4年間正会員として支援を受けることになる。さらに審査で延長が認められれば、28歳まで在籍することもできるという。支援額は決めておらず、一人ひとりと話し合いながら、オーダーメードで決めていく。中馬さんの場合、食物アレルギーもあるので「親御さんの同伴も必要なら、その負担も検討対象となります」(孫財団)という。

孫財団は「もちろん孫氏もソフトバンクも見返りは何も求めません。社会に役立ち、世界を変えるような人材を育成したいだけです」(源田事務局長)と強調する。

「若くてうらやましいね。もう一度、僕も戻りたい」。最終選考会で孫氏は、9歳の異才を前に何度もこう漏らした。今年60歳となった孫氏。ソフトバンクグループの時価総額は10兆円に迫り、日本有数の資産家になった。だが8月7日の決算説明会では、自身の人生に対する自己評価を問われ、「28点。しかし、先は明るい」と答えた。人生に満足せず、まだまだ挑戦したい孫氏。異才たちの若さがうらやましくて仕方ないようだ。

孫氏の後継者は誰か

孫財団の支援の決まった異才たち

孫財団の支援の決まった異才たち

孫氏にとって最大の課題は後継者問題だ。「グローバルなビジネスを理解し、もちろんテクノロジーもファイナンスも分かるリーダーでないといけない」と孫氏は後継者の条件を語る。一方で「60代で後継者を育成して必ずバトンタッチすると公言しているが、60代というのは69歳まであるのでまだ時間はある」という。孫氏のお眼鏡にかなう後継者選びは容易ではないだろう。

ソフトバンクの社内、社外を問わず、カリスマ創業者に代わる人材は簡単には見つからないという声ばかり。「将来、孫さんは自分の脳のデータをAIに移植して永久CEO(最高経営責任者)になるのでは」という珍説も浮上するほどだ。6月の株主総会で「後継者はAIか」と聞かれ、孫氏は「生身の人間になってもらいたい」と語った。

今の日本には、グローバルリーダーになる人材が圧倒的に少ないといわれる。そんな孫氏の危機意識が「異才支援プロジェクト」につながった。16歳の起業家、山内さんは「孫さんは自分のクローンをつくりたいのかな」と笑う。この異才の中から、世界を変える第2、第3の孫正義氏は誕生するのだろうか。

(代慶達也)

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