「お嬢様学校には違和感」 女子御三家、雙葉生の今
雙葉中学・高校の和田紀代子校長に聞く

荘厳な雙葉学園の外観
クラブ活動は全員参加が義務付けられる。運動系から文化系まで37のクラブがあるが、スポーツで対外試合が許されるのは、バレーボール、バスケットボール、卓球の3部だけだ。全国大会に出るレベルのクラブはない。校外の関係者が参観を認められるのは文化祭のみ。しかも「文化祭に注目が集まりすぎて入場者が多くなると、危険な状況になりかねません。そこで在校生と関係のある方を中心に入場してもらうように制限しています」(和田校長)という。やはりそこは「女の園」。外部の人間が校内に立ち入ることはまず許されない。
強まる医学部志向
基本的な教育の理念は、「人は神様から命が与えられ、一人ひとりに別々の使命がある。自分を含め一人ひとりの命を大切にする」というキリスト教の精神に基づいている。入信や洗礼は一切強要しないが、週に1時間は「宗教の時間」という授業がある。ひたすらに聖書を読むというよりも、高2や高3になると、平和や環境をテーマにした世界情勢などについて考え、互いに意見を出し合い、「自らのミッションは何かと自問自答し、先のキャリアを考えるのが狙いです」(和田校長)という。
17年の雙葉高校の合格実績は、東大が14人、京都大学が3人、国公立大学医学部は17人(防衛医科大学校を含む)。早稲田大は70人、慶応義塾大学は49人、隣の上智大は32人だ。「大学名ではなく、将来のキャリアで考えて選択する子が少なくないです。お医者さんの子供が多いからか、医学部には私立を含め30人ぐらい合格しますね」(和田校長)という。東大合格者で女子校トップの桜蔭高校も医学部志向が強いが、雙葉も東大よりも医学部を目指す生徒が増えているようだ。
仏語で東大受験も
伝統的な特長は語学だ。かつては外国人のシスターがたくさんいた。現在はゼロになったが、小学校1年生から会話中心の英語の授業をしている。中学入学組で英語力が一定の水準に達していない生徒は1年間は別クラスとなるが、外国人教師によるスピーキングなどの授業を積極的にやっているため、すぐに慣れるという。