本当に「就活生が社員に会いたい」企業ランキング
この社会人の言葉の背景には、準備不足の学生に会い、「時間の無駄」と感じたことが実際にあったのだろう。また、「SNSはあくまでプライベートな場。社名を書いているからといって、見知らぬ人から突然連絡をされても困る」(出版社勤務・30代)という声もあった。ツールがSNSであったとしても、「誰かからの紹介であること」を求める声が多かった。
今回5位にランクインしたアクセンチュアも、「SNSを通じての学生とのやりとりは原則やっていない。採用サイトを通じて社員に会える機会を用意しているので、そこからアクセスしてほしい」という。
手軽なサービスにも礼儀が必要
ネットを通じて、「OB・OG訪問」を仲介するサービスは増えている。採用コンサルタントの谷出正直氏によれば、就職活動のスケジュールが8月となった2016年卒ごろから、「OB・OG」と学生とのマッチングサービスが増えてきた、と話す。
ビズリーチは、昨年10月から出身大学のOB・OGをつないで学生とマッチングする「ビズリーチ・キャンパス」を運営している。このサービスでは、登録した学生は就職活動時期、学年に関係なくサービスに登録した社会人に直接会って話を聞くことができる。会える社会人は、原則自分の所属する大学のOB・OGだ。
参加する企業の社員は、会社から紹介されて登録したケースもあるが、学生のために何かしたい、という「善意」から登録したボランティアがほとんどだ。そのため、運営側は多忙な社会人が「志が高い学生に会えてよかった」と思える機会になるよう、心をくだいているという。
この工夫として、ビズリーチ・キャンパスを利用する際には、OBに向けたメッセージを記入してから応募するしくみを設けている。「やる気のない学生に会ってがっかりした」という社会人の落胆がないように工夫しているわけだ。
ほかにも、学生が社会人に面会を申し込めるスマホ向けアプリを展開するビジッツワークス(東京・港)や、社会人側から学生に「逆訪問」できるマッチャー(東京・新宿)など、社会人と学生をつなぐサービスは増えている。
手軽なツールであっても、社会人に実際に「会う」となると、最低限のマナーや自分の熱意を伝えることは求められるようだ。逆に、きちんと思いを伝えられれば、この機会で希望の会社への一歩につながる例もある。「ビズリーチ・キャンパス」で外資系コンサルティング会社のOBに出会ったある学生は、そこでインターンシップに呼ばれ、見事内定を獲得したという。熱意を伝えるチャンスにつながったのだろう。これから2019年卒の学生たちは、本格的に企業探しを始めるフェーズになる。相手を配慮した上で、さまざまな機会を利用し、「社会人」の第一歩を踏み出してほしい。
(松本千恵)