東大に一番近い学校になる日は? 駒東が伸びるわけ
駒場東邦中学・高校の平野勲校長に聞く

図書館では多くの生徒が自習している
日々の授業も、その気にさせることに重点を置いている。中学などは1クラス40人だが、20人ずつに分ける「分割授業」と呼ぶ方式を英語や数学、理科実験などで導入している。成績順位で上位と下位に分けるという発想ではなく、1人の教師と各生徒との対話を深め、実験などの機会を多くして、実際に触れさせるのが狙いだ。駒東には9つの実験室がある。「中学の技術(ものづくりや情報)や高1の調理や裁縫など家庭科でも分割授業でやっている。これからの男子は家庭科が不可欠でしょう。実際に手で触れて、面白いやと感じるのが大事」という。
その気にさせる教育
どうやら駒東が急伸した秘密は「その気にさせる教育」にありそうだ。先輩から大学や会社の話をしてもらい、保護者は見守り役になる。その気になる環境もある。隣には筑駒があり、強い刺激を受ける。近くの東大には駒東OBの教授もおり、研究の様子なども見学させてもらえる。南隣には、同じ学校法人の東邦大学医療センター大橋病院がある。その医師に「ブラックジャックセミナー」などを開催してもらい、医学部志望の生徒のやる気を呼び覚ましている。

駒場東邦中高の隣にある筑波大付属駒場中高
一度その気になった生徒は自分で勉強に集中するようになる。放課後の図書館には多くの駒東生が自習に取り組んでいた。
駒東から歩いて7分ほど、京王線の駒場東大前。駅前には高校生や東大生の姿ばかり。駒東や筑駒以外にも周辺には都立国際高校や都立駒場高校もある。進学校がこれほど集まっている地区は全国に他にない。
就活で大手金融機関を受けたある卒業生は「5回面接してもらったうち、3回が駒東OBでした」という。教師と保護者、先輩と後輩のつながり深い「駒東ファミリー」。東大に一番近い学校になる日も近いかもしれない。
(代慶達也)