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20年前の金融ビッグバンは、「終身雇用の崩壊」と自己責任論を中心とした「成果主義の浸透」という時代の変わり目を告げる号砲となりましたが、今回は、いったいどんな変化を暗示しているのでしょうか。

旧来の雇用システム崩壊と、姿を見せ始めた新しいルール

3メガ銀の人員削減策の発表を受けて、当事者である三菱東京UFJ銀行の三毛兼承頭取は、「伝統的な商業銀行モデルはもはや構造不況化している。非連続的な変革が必要だ」と語っています。総論としてはその通りなのでしょうが、具体的には何が起こっているのか。その背景にある要因を、各メディアは多様な視点で分析しています。

(1)「マイナス金利」説

最も多い分析は、日銀によるマイナス金利政策の長期化や人口減などで、国内の銀行業務が構造不況の色合いが濃くなってきたことが引き金になっているという視点。国内銀行の貸出約定平均金利はマイナス金利導入直前の2016年1月から2割近く下がっている状況です。メガバンクは4割近くを海外で稼いでおり、国内の収益の落ち込みを海外で補う構図となっています。これでは国内業務の効率化やリストラは避けられず、環境がさらに悪化すれば大量の希望退職の募集などに踏み込まざるを得なくなるリスクもあります。

(2)「AI変革」説

もう1つが、AIやフィンテックと呼ばれる金融技術の進化によって、銀行業務そのものが消滅しつつあるという説。特に資金決済など、従来、銀行が担ってきた業務が急速に新しい仕組みに置き換わりつつあることが、大きな影響を生んでいるという指摘です。ATMやパソコンを使った振込に変わるレベルではなく、銀行そのものを経由せずにスマートフォン端末だけで決済ができてしまう新しい仕組みが進展しつつあります。こうなると、頼みの綱の海外売り上げも奪われていくことになります。

(3)「仮想通貨」説

3つの目の視点が、ブロックチェーン技術を使ったビットコインなどの仮想通貨の進展。これが広がれば、伝統的な銀行は致命的なダメージを受けることになります。しかも、たった数年で景色が一変するくらいのスピード感があるため、意思決定に時間がかかっていては銀行側の打開策自体も消滅しかねない勢いです。

いまメガバンクを襲い始めている雇用危機は、AIによる雇用システム変革の序章にすぎないという見方もあります。変革の波は決して金融機関だけではなく、家電や鉄鋼、自動車といった、これまで日本経済をけん引してきた大手企業と傘下のグループ会社、膨大な数の中小取引先企業に波及しかねないものです。

マイナス金利やAI、仮想通貨などは、どれも単なる引き金の一つにすぎず、通底する流れは、やむことなき合理性の追求による「生産性革命」が始まろうとしていることにあるのかもしれません。

転職市場の変質にどう向き合うか カギは自走性と独立

新卒や転職といった雇用市場も、これからは一気に変化が加速する可能性があります。足元の雇用情勢は意欲が旺盛で、求職者側にとってきわめて有利な売り手市場の状況にありますが、この状態がいつまで続くのかは不透明です。むしろ10年後、20年後のキャリアを考えると安穏としていられる状況ではありません。働く側として、これからの市場の変化にどう向き合うべきなのでしょうか。

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