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「経営は、最終ページから本を読むのと同じです。つまり、結論が先というか、何をするのか決めて実行することなんです。非常に単純ですが、実際に自分がやっていなかったと気がついた。というのはね、日本人はほとんどそうだろうけど、毎日努力してたらある程度成功する、と思うでしょう。でもね、努力してても、努力の方向性が違ったらダメ。成功しないの(笑)。同じところを回っているだけ。結局、あなたは何がしたいのか、人生をかけて何がしたいのかが決まらない限り、ビジネスはうまくいかないと気付いた。それからです。ちょっと経営が分かってきたのは」

――目標を設定したわけですね。

「そうです。僕は米国文化、特に若い世代の文化が好きだったから、学生時代から同業を学ぶために米国や英国をよく訪ねていました。そのころ、婦人服や女性下着のビクトリアズ・シークレットなどを運営する米リミテッド(現エル・ブランズ)のレスリー・ウェクスナー氏という経営者が、最短で1兆円の売り上げを出したんです。彼は、僕が一番尊敬する『マーチャント(商売人)』なんです」

「英国では、ネクストというアパレルが8年間で年商20億円から2000億円までのばした。僕は毎シーズン見に行っていました。今、カタログで80年代後半のデザインを見ても、全然古くないんです。同じようなことが日本でもできるんじゃないかと思った」

「将来、欧米のあんな会社になりたいと思った。でも、現実は厳しい。人口17万人しかいない、地方都市の商店街の紳士服店です。当時の現実から考えたら、自分が一生かけても年商30億円、30店ほどの会社くらいになれればいいかなと思ってた」

成功する起業家は注意深い

――柳井さんが考えるリーダーの条件は何ですか。

「多くの人が勘違いしているけど、起業家で本当に成功している人は非常に注意深いんです。(米マイクロソフト創業者の)ビル・ゲイツ氏が、『You must worry(悩みなさい)』といっているんです。すごく注意しないと持続的な成功はできない。大胆な人はいない、フォーカス(焦点を絞る)しないといけないと」

「もう1つは、誇大妄想狂って僕はいっているんだけど(笑)、アントレプレナーシップを持っていること。うちのステートメントは『服を変え、常識を変え、世界を変えていく』。自分でもよくいうなって思うんだけど、そういうことが本当に必要なんだと思うんです」

――ソフトバンクグループの社外取締役をやっていますよね。会長兼社長の孫(正義)さんも大胆に見られますが。

「でも、彼も計算はしている。まあ、してるけど、ちょっと勇気がありすぎるというか、大胆すぎるよねえ。特に最近は、『リスクヘッジを忘れないように』といつも言っている。僕はいつも、(大型投資などには)反対しています(笑)」

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