インドの「天才」がほしい メルカリの採用作戦

外国人社員のサポートなどにあたるグローバルオペレーションズチーム。左がスティーブン・ジョンソン氏
メルカリには「Starting a Life in Tokyo(スターティング・ア・ライフ・イン・トーキョー)」という外国人社員向けの資料がある。家の借り方やごみの分別方法、リーズナブルな家具店などの紹介から、「地震のときにどうしたらいいか」といった地震国日本ならではの情報まで網羅する、いわば「日本生活の取り扱い説明書」だ。「どこのスーパーが安いか、といったことがわかって助かった」とビシャール氏。食事も、宗教上の理由などから日本での食事がストレスになる人もいる。ケータリングの食事でも、ベジタリアンコーナーなどをつくり、アレルギー表示もしっかりした食事を用意している。
「空気を読む」は、やめて
海外の優秀なエンジニアが働きやすいと思うのは、どんな環境か。ビシャール氏に聞くと、生活のサポートに加えて、「タイムスケジュールが自由で、意思決定までのスピードがはやいこと」という答えが返ってきた。これまでのルールに縛られず、新たなことに取り組める環境が心地いいという。技術力は人によって異なるが、そのスピード感を殺さない環境づくりが求められているようだ。
ビシャール氏によると、日本でもっとも戸惑ったのは「空気を読む」という独特の文化だった。明文化されない、暗黙の「決まりごと」に混乱するという外国人は多い。田面木氏は、「日本人は、みんな同じ前提を共有しているという意識になりがち。しかし、前提は、みんな異なっている、という意識を持つのが第一歩」だという。今、日本企業は、こぞって外国人のエンジニアに熱い視線を送る。ただ、採用の前に彼らを受け止める環境を整えなければ、存分に活躍してもらうのは難しいだろう。
(松本千恵)